きりしま食堂

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高原町役場のすぐそばにある、きりしま食堂。
ご主人の山口豊徳さんは、大阪で料理人の修行をした後に奥様の陽子さんと出会い結婚、その後お店を開業しました。
今年で創業56年目!隣では奥様が美容室を営んでおり、夫婦二人三脚でひた走ってこられたのだろうな…とお二人の努力、月日の経過に感じ入ってしまいます。最近はどちらのお店も営業時間を14時までに短縮しており、店じまいの後夫婦2人で買物へ出掛けるのが日々の楽しみだそう。
 
陽気な笑顔がステキなご主人。お店へ入って少し言葉を交わしたと思いきや、ささっと手品を披露したり、冗談を言っておどけて見せたり…。そのまろやかな雰囲気にすっと包み込まれます。ちょうどお客さんと居合わせていた奥様の陽子さんも一緒に、いろんなお話を聞かせてもらいました。


女は強いようでいて弱い 男は顔は厳しいようでも心は優しい
 
最近夫婦で話すのは、お互い思いやりを忘れずに長生きしようということやね、とご主人。奥様が心臓を患ったこともあり、日頃からの気遣いを欠かしません。
「朝から晩まで笑っちょる、それと妻を大事にする」 との言葉を受けて
「うちは世界一かも知れん・・」 と続ける奥様。

 

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自宅裏の菜園にて、ぐんぐん伸びているエンドウ豆。
 

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絵描きが趣味の豊徳さん、絵の中にこんなイラストを発見。
温かみのある夫婦画、あふれる愛情にほっこりします。
 

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店主おススメの「あんかけ焼きそば」テイクアウトもできますよ~!

 

「私の身体が悪いからと、いつも自分のものは買わずに私にくれる。
サプリはダメだ、口からちゃんとした栄養を取るんだと、
畑で育てた生野菜や果物を毎日用意してくれる」
 

それ以外にも、歌が大好きな奥様の声を編集した曲をドライブ中にかけて元気づけたり…等、、それはそれはため息が出るくらい愛情たっぷりです。
「若いうちは思わんですよ、年をとってからやね」と照れ臭そうに笑うご主人。
それを聞いてちょっとホッとしましたが(笑)
話を聞いているこちらまで幸せ気分になります。

 

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咳一つで体調がわかる。これは肩こりの咳やな、とかね。
けどウチんとは逆。私が咳すると「せからしぃが!」てね笑(豊徳さん)
 

男はお洒落とかそんなもん、どうでもええ。清潔であればいい
 
「立派なお店ではないけれど、いつ保健所の人がきてもいいくらい衛生的なのよ。
清潔が一番ですよね」と奥様。ふと店の奥にある厨房に目をやると、すっきりとした空間にピカピカのシンクがちらり。
わ、本当にきれい…と見とれていると、間髪入れずに「私はハゲおじさんです」とおちゃらけて見せるご主人。きりしま食堂、実は宮崎県で表彰されるほど清潔ピカイチの食堂なのです。

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隙あらば…という感じで、さっとキレよくおどけて見せるご主人。
こんな風に軽やかに年を重ねていけたら素敵だなぁ。

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常連客の方おすすめのトンカツ定食。「お漬物がおいしいのよ~」とにっこり

 

自分の欲ばかり考えたら必ず不満になる。いつも感謝を忘れずにいたい

ご主人は幼少時代に貧しさを経験したおかげで、贅沢ができない、毎日食事ができるということだけでも本当にありがたい、幸せなことだと言います。

豊徳さん「人の文句言うのは簡単じゃ、みな長所・短所あるわけで。それでもなんか嫌なことあった時にはね、貧しい人達の事を思うわけ。1日にパンの一欠片しか食えない人もいるのに比べたら、私は幸せじゃわーて。そうすると安らぐがよ。自分の欲ばかり考えていたら、結局は必ず不満になる。」

陽子さん「そういう考えでいるから、逆に恵まれてくるのかな。それにもう今の時代は、昔みたいに義理とか持たずに割り切らんといかん気がする。
できることはしても、見返りの気持ちは捨てないとね。自分ももう歳だし、今日を大切に楽しく生きようって。周りことを色々言うよりは、自分たちの考えを変えていかないと良くならないと思うのよね」

 
淡々と言葉を交わし合うおふたり。
長年連れ添ったご夫婦ならではの味わい深い会話に聞き入っていると、時間はあっという間に過ぎていきます。そんなご主人達の雰囲気に癒されるのでしょうか、一日中居られるお客さんもいるとか。私もすっかり心洗われるような優しいひとときを過ごさせていただきました。
 

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豊徳さん、陽子さん、ありがとうございました。







  
 

しばらくお休みいたします

 フリーライフたかはるをお読みいただき誠にありがとうございます。

 2018年7月より記事を投稿してきましたが、担当が産休に入る為、今回の投稿を区切りにお休みとさせていただきます。

 復帰後の投稿がいつになるが分かりませんが、お待ちいただけたらと思っております。
 

合同会社 米夢

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10年前に鹿児島市から移住された追立隼嗣さんと、プロの米農家である有水耕治さん。お2人によって設立された会社「合同会社 米夢(まいむ)」では“特別栽培米”(※農薬・化学肥料の量が通常の栽培方法と比べて50%以下に抑えて作られたお米のこと)の生産・販売をしています。
少しずつ販路を増やしていく中、最近では「きりしまのゆめ」として商標を取り、ブランド化に向けて動き始めているということで…今後の展開が期待されるところです。
 
そしてお二人は家族でも親戚でもない、全くの他人同士。
一体どういう流れで一緒に米作りをするに至ったのでしょうか?
まずは鹿児島でのサラリーマン生活から一変,、農業を始めた追立さんにお話を伺いました。
 
―何がきっかけで高原町へ移住されてきたのでしょうか?
 
追立さん:最初は近く(高崎町)にいる親戚が経営しているきのこ園で農業の勉強をしようと来たんです。そのうちに高原町にある杜の穂倉で仕事をするようになりました。鹿児島でサラリーマンとして働いていましたが、自分には合わなかった。今思うと(サラリーマン時代が)楽は楽だったんですが…、妻の理解も得て移住し、もう10年農業に関わってきています。
こっちへ来てからは、せかせかしていた性格が落ち着いてきました。好きな事をしているのもあるけれど、自然の中で仕事をすることが、やっぱり自分には合っています。
この辺の人達も皆ゆっくりしていて親切ですしね。
 
そうなんですね。これまで農業に関わりながら、自然の中に身を置いてみて…
実感として、どうですか?
 
追立さん:大変は大変ですよね。サラリーマン時代は時間や人間関係、ノルマに追われる感じでしたが、今はこちらの思い通りにならない・出来ない “自然” が相手ですからね。
一生懸命やるんですが、自然環境に対して基本人間が出来ることは…限界があります。そこをどうやってうまく折り合いをつけながらできるのか、ですよね。
土地や自然に「生かされている」という感じなので、その辺が難しいと思います。

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―「生かされている」というのは 、自分が生かされているっていうことですよね?

 

追立さん:だと思います、そう感じます。土地があって作物が育ち、自分達はそれを収穫して生きていますもんね。水も自然の湧水なので、季節によって多少の差がありますから、思い通りにはなかなか…。

 

―思い通りにいかない、ていうのも結構な学びですよね。私は子育てを通してそれを実感しましたが… (笑) 

 

追立さん:そうですよね。自然を前にしての無力感というか、本当に自然の一部なんだなと思いますね。生かされていること、感謝の気持ちが実感としてすごくあります。今は自然の中で暮らせていることがいい。サラリーマンに戻りたいとかは全く思わないですね。

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会社周辺の景色。霧島山の下に広がる田園風景が清々しい。

 
現在、家族4人で暮らす追立さん。高原町で6次産業を学ぶために仕事をしていた最中、米農家であった有水さんの学習塾に娘さんを通わせ始めたことがキッカケとなり、二人は意気投合。「そんなに農業が好きなら一緒にやらないか?」との有水さんの誘いを発端に、二人で会社を立ち上げる運びとなります…。
後日、有水さんにもお話を伺いました。
 
有水さん:自分の子ども達はそれぞれの道で自立してる中で…これから先のことを、どうするかな~と考えてはいたんですよね。
“会社組織をつくりたい”という気持ちはずっとあったんです。そうすれば、自分に何かあった時に嫁さんを食べさせていけることはできる…というのがあったから。
 
―そんな最中で追立さんとの出会いがあり、会社を設立という流れになったんですね。
 
有水さん:農業は、自分で計画してやっていけるところが良いんですよね。雇われて、ただ言われたことをしているだけだと面白くないから、互いに同じ立場でできるやり方でやりましょうと。僕にただ言われてやっても、農業の良さが分からないですからね。

 

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―お互いを尊重し合いながら、一緒に仕事されているんですね。

 

有水さん:うん、すごい子やから…あの子は本当にいい子だからですね。うちの子ども達もすごく感謝しています。“追立さんが来てくれて良かった”って喜んでいますよ。戦後開拓で親父が開いた土地だから、潰したり、他人に渡す…というのはやりたくなかった。土地を売る、というよりも貸すという形が精いっぱいだなと思っていたんですよ。だから会社を作って、会社に土地を預けるという形を取れば、土地を売らなくて済むかなと思っていますけどね。今は二人でやるにも手が足りないほどになってきているので…経営的にはそんなにいい訳ではないですけど。

 

―いい形で道が開けてきているんですね。“合同会社”ということですが、お二人の役割がそれぞれあったりするのでしょうか?

 

有水さん:そうですね、どういう風に販売しようかとか、常に一緒に相談しながら何でもお互いに意見を出し合って進めています。自分としては、これからは彼がとにかく中心になっていかなきゃいけないから、ゆくゆくは新しい機械をいれて、自分はサポートに回るような感じにしていきたいと思っていますね。

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―追立さんと、有水さんご夫婦。ありがとうございました。

 

これからも高原で米づくりをしていき、お米を柱にして6次産業にも取り組んでいきたいという意気込みの追立さん。ただ現在、人手不足なのだそうで…農業の好きな方、興味のある方に是非来て欲しい!ということでした。
 
縁…って不思議ですよね。お二人共最初は全くの他人同士でしたが、ふとしたキッカケで出会い、そこから深い信頼関係を結ぶまで…そんなに時間を要していないように見えます。それがお互いにとって、まさに偶然であり必然だったというような物事の自然な流れの中、互いに協力し合いながら夢実現のために日々奮闘されています。
物腰柔らかく優しげなお人柄ですが、実はしっかり者で真の強い追立さんと、経験豊富な広い心と包容力でどーんと構える有水さん!といった感じで、とてもいい雰囲気のお二人。
そんなお二人が夢を持って一緒に進んでいく様子を見ていると、きっといずれまた素敵な縁が広がっていくんだろうな~という予感がしてくるのでした。
 

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えがおリレー vo.13 原田 智子さん

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第13回目、原田 智子さんです。

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高原町で生まれ育った原田 智子さんは、3人の息子さんを育て上げ
今はお知り合いの仕事や孫の世話を楽しみながら生活されています。
 
“とにかく体を動かしているのが好き” だという智子さん。
2回はミニバレーに精を出し、JAの補助事業のお仕事や、
知人の牛農家さんのところで畑仕事や飼料運びのお手伝いをしたりと、
日々アクティブに動かれている様子。
今はそれに加えてお孫さんの世話も…けどそれは“嬉しい楽しみの一つ”だそう。
 
「クーラーの効いた部屋にいると、身体がだるくなるんですよ。
涼しいのもいい面があるんだけど、くもり空の中で外の空気を吸いながら働くのが好き!なんです。」

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手前が智子さん、この日は里芋の選別作業をお手伝い。芋をささっと手早く選別し仕分けます。

 

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「酢の匂いがしない?」確かにほんのり酸っぱい空気が漂います。虫や病気が流行らないように酢を撒いて下処理するんだそうです。なるほど~殺菌効果ということですね!
 
智子さん:都会にでる子もいた中、私は学生の頃からここを出たいとは思わなかったんです。けど出たことがない分…逆に言うとここの良さがよく分からないのかも(笑)
ただ水道水をおいしく飲むことができる事のありがたみは感じてます。県外に出た息子が帰るといつも言うんですよ、高原は水が美味しいって。
 
―そうですよね。特に夏で言うと、今までのイメージでは水道水はぬるいのが当たり前でしたが、こっちはおいしく飲めるのはもちろん、真夏でも冷たくって気持ちいい!台所で洗い物するにも何だか贅沢な気分になってます(笑)
 
智子さん:ですよね。それでも今はこの辺りの地形がどんどん変わってきていて…色んな所が伐採されてるからね。人工的なものじゃないですか、杉にしても。
自然な雑木が無くなってますもんね。
子ども達も、どこにカブトムシを取りに行っていいのかわからないみたいでね…(笑)
昔は雑木…どんぐりとかクヌギとかの木を蹴って、ポタポタ落ちてくる虫を採っていたんですよ。今はそういうのがなくなってきている気がします。
 
―やっぱりずっと住まわれていると、ちょっとした環境の変化を感じるんですね
 
智子さん:そうですね。昔は近くの川でも子ども達が泳いでいました。ちゃんと監視員を立てて、男の子達は自然のツルにぶら下がって、川に飛び込んでいましたよ(笑)今はもう学校も禁止しているし、あんまり泳ぐ人も見かけないけれど。
 

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子ども達が橋から飛び込んでいたという川。
今は水量が少ないようでしたが、水も綺麗で魚が泳いでいました。
 
智子さん:今は核家族で、本当に地域の人との交流も少なくなってきていますよね。
孫も老人ホームに行って交流したりしていますが、結構お年寄りに気配り出来たりするんですよね。そんな風にいろんな世代の人達との交流が、日常的にあるといいなと思います。
今は農業されている方も高齢になってきていて、大変そうな方も沢山います。
高原町でもそういう部分をサポートするシステムなどがあるとありがたいなと…。
収穫時期だけでも手伝ってくれる人がいると本当に助かりますから、そうやって人をうまく繋げていくようなことが求められているんじゃないかなとは思いますね。
 

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―お孫さんと一緒に! 智子さん、ありがとうございました。

 

ばぁば大好きな4歳のお孫さん。「遊びに行っていい?」と連絡をしてはしょっちゅうご自宅へ来て、元気に走り回ったり、ばぁばのお手伝いをしたり…楽しそうに遊んでいるようです。そんな孫の姿を愛おしそうに見守っている優しい表情の智子さん、これからも高原でゆったりと穏やかな暮らしを楽しんで下さいね。
 
そして次回は智子さんの息子さん!ご夫婦で整骨院を経営されているそうですよ。
どうぞお楽しみに。
 

 

 
 
 
 

 

 
 

高原アイスクリーム研究所

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高原町にある小野田牧場では
新鮮なミルクを活かしたアイス作りに取り組んでいます。
写真は商品の販売拠点として、約4年前に小林市にてオープンしたお店。
地元の食材にこだわったカップアイス商品をはじめ、店頭販売されているソフトクリームを求めて、連休中には車がずらりと並んでしまうほどの人気ぶり!

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店頭には随時数種類のソフトクリームがあるのでお好みで。これは2種アイスのせソフト。
「色々トッピングしてみてね」素敵な笑顔の店員さんに勧められ、塩・ナッツ・ソースをかけてみました。全メニュートッピング可能、自分で好きに作れるのって楽しい♪

 

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カップアイスも種類豊富!地元食材使用の素材にこだわったなめらかアイスです。

 

ソフトクリームは、そのままでも充分美味しいさっぱり濃厚ソフト!ボリューム満点ですが、意外と完食できてしまうようなさっぱりしたお味です。
今回は小野田牧場の代表である小野田 裕之さんにお話を伺いました。
 
―「高原アイスクリーム研究所」ていう名前いいですね。研究所っていうのが変化していくような定着しないイメージを持つのでワクワクするというか…。
 
小野田さん:そうだね。アイスクリーム事業を始めたきっかけにもなるんだけど…
僕は元々25年来ずっと酪農をしていて、MRT主催のご当地グルメコンテスト(※以下グルコン)に出場をしたことがキッカケで、アイスクリームを作るようになったんだ。
その時は町役場職員から依頼を受けて、コンテストに出場し優勝して高原町の名を広めたいんだという話があって。いろんな業者や異業種間で協力し合って、高原町のPRをしましょう…という話に感銘を受けて“いいねぇ!”って。
最初は牛乳を提供することで参加して、小林の業者さんにアイスクリームに仕上げてもらってね。結果コンテストで2位になって、その時は800食も売れたのよ。

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中央が小野田さん。かき氷にアイスがのった「ゆるりラテ氷」高原食材が結集した一品!

 

―初出場で準優勝は…大健闘ですね!
 
小野田さん:それで調子に乗っちゃって(笑) 来年は優勝だ!と再出場。
今度は抹茶テイストの「けったくり氷」というのを出品して、それは3位だった。
300食しか売れなくて、すごく悔しくて…これは実質負けだなと。
そこから火が付いたんだよね。
 
それからはアイスクリームも自分の思う味のものを作りたいと、今度は僕が先頭になってコンテストの品を仕上げて…出場して3年目に優勝できたんだ。
それも色んな業者さんに手伝ってもらって“高原アイスクリーム研究所のソフトクリーム”を使ってね。そのコンテストに出るために、アイスの工場を作ったんだ。
 
―コンテストありきで工場を作ったんですね!2年目で悔しい思いをして
3年目に悔しさをバネにして…。
 
小野田さん:そう、負けた時に本当に悔しくて。色々勉強してその年の10月には認可を得て。「アイスクリームを作るにはどうしたらいいの?」って小林の保健所にずっと入り浸って(笑) 担当者と協議を重ね、元々住宅だったスペースを改造して工場を作ったんだ。
 お客さんに「お店が小林にあるのになんで“高原”?」て聞かれるんだけど、名前の由来を言うと、高原の有志でずっとアイスクリームの味を研究してきたので“高原”と付けたかった。アイス作りに携わるキッカケを高原町のグルコンに作ってもらった…という想いがあったからね。今まで酪農一筋だったのが、いろんな業種や人と交流し広がりができて、色んな体験をさせてもらったことに感謝してる。
 
工場は2015年12月に完成して、その翌年2016年・2017年とコンテストで2連覇した。それは僕だけの力じゃなくて、沢山の協力者がいたからこそできたことだね。

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これは2017年に2度目の優勝を果たした「BEBUソフト」コンテストでの2連覇は高原町が初の快挙!

 
コンテストがきっかけで研究所をはじめて…それまでは酪農一筋だった小野田さん。ここ数年は「ずっと走りっぱなしだね(笑)」としみじみ振り返ります。
 
小野田さん:「ファーストペンギン」ていう話もあるけど、誰が先に見たことのない景色に飛び込めるかっていうね。無謀だとか言われるんだけど、そんな新しい世界が見てみたいし、おそらく皆そういう人達が草分けとなって様々な世界が拡がってきたわけだしね。
 酪農は衰退していて、10年前は宮崎県だけでも600軒位あったのが、今年は300軒を切ったのかな…。そんな中で、まだ影響を受けにくい加工業に余計シフトしてきた訳で、今後も力をいれていかないといけない分野だなと思って日々奮闘しています。
 
―減るとか無くなるとかって、一見ネガティブなイメージも持ちがちだけど、逆に言えば研ぎ澄まされてくる…みたいにポジティブにとらえて進むとまた未来が明るい気がしますよね。経済も小さい規模で、ローカリゼーションとか言って地域単位でやる方向性も提唱されていて、自然と調和的に生きていく道を選びたいという若者や、ローカルでうまく循環していく社会を目指す人も増えていると感じるし…。
 
小野田さん:うん、感覚的にはそんな感じかもしれないよね。スローライフの中でもお金を稼げる仕組みや資源って、高原町の中にも沢山眠っていると思う。それをどうやって発信するか、お客さんに買ってもらうかとか考えて、経済とうまく繋げていく方法を考えなきゃいけないし。特にこの情報社会が今後どういう風に変わっていくのか…これからのことは分からないけれどね。
 
やっぱり高原町に、人が集まる拠点が欲しいところだね。
実現は厳しいかもしれないけれど、業者が集まり加工までできるような道の駅的なものが、高原IC近くにあればいいよね。
そしてアイスクリーム研究所としては、やはり高原町に拠点を置きたい。常に場所は探しているんだけど…町内の空き店舗なんかも有効活用できればいいなと思っているところです。

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―小野田さん、ありがとうございました。

 
「まずは温泉!あとは皇子原公園がオススメ。ゴーカートや釣堀もあるし、結構遊べるよ~」
町内のオススメスポットを楽しそうに話して下さる様子からも、高原への愛が伝わってきます。小野田さんは悔しさをエネルギーに変えて、アイスクリーム研究所を立上げ、その先の未来まで見据えながら日々取り組んでいらっしゃいました。その姿は正直で、自然体であるように感じます。
本当に日々の暮らしの中でふいに起こること、その選択のひとつひとつが物事のカギを握っているというか…自分の人生も、後々振り返ってみると考えさせられますね~。
けれど何はともあれ、後悔先に立たず。しっかり今と向き合い、前を向いて軽やかに楽しみながら進んで行きたいな~とつくづく思ったのでした。
 

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えがおリレーvo.12 久保ぶどう園

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第12回目、久保ぶどう園さんです。

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久保さん一家は、広原にあるご自宅の敷地内でぶどう園を経営されています。
取材へ向かうと、ぶどうを買い求める人が代わる代わる出入りしています。
これから9月にかけてが繁栄期!皆さん忙しそうに作業されていました。
 

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立派なぶどうが沢山~!キリシマ、クイーンニーナ、ゴルビー、ピオーネなどの数種類が並びます。
そのほとんどが皮ごと手軽に食べられるそう。
 

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今、一番人気なのはシャインマスカット。見るからに綺麗で美味しそう…!

 

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 こちらの女性は、久保 冷子さん。
小林市からご主人の元へ嫁ぎ、久保ぶどう園を始めてもう48年目になります。
ぶどう園の仕事についてお聞きすると…
「ぶどうの生育をみていくのが一番の楽しみですね。
周りは大変だというけれど、私達は慣れているから大丈夫。」と笑います。
 

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ちょうどこれからの季節、7月から9月にかけてが販売時期。
それが終ると剪定作業に入り、正月明けには芽が出てきます。
そこから約半年間はぶどうの袋掛けや薬の散布をしながらお手入れし、梅雨明けには収穫が始まる…というサイクル。
 

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試食も出来ます。味比べをして好みの品種を見つけてみては!?

 

奥に見えるのが、冷子さんの息子さんである一樹さん。
ぶどう園を継ぐ為、高校卒業後に福岡でぶどう栽培を学び帰郷。
子どもさんも3人産まれ、家族皆で暮らしています。
 
「ここには自然しかないですけど…」とはにかむ一樹さん。
この地で生まれ育った一樹さんにとって、自然が身近な暮らしはごく当たりまえのことのようです。そしてこの辺りでは、地域のつながりもしっかりと根付いています。
 
「地域の親同士も仲がいいですもんね、子どもも少ないですから…。
学校帰りに一人で歩いていた息子を見かけた人が車に乗せて帰ってきてくれたり、
うちの母は作った野菜を誰かしらに持って行って、物々交換して帰ってきたりしますよ()
 

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“お持ち帰り下さい”と、片隅に新鮮な野菜がゴロゴロ♪

…それが自然と成り立っているって素敵なことですよね。
人同士のつながりの大切さに気付き、都市部でもコミュニティーを作ろうとしたり、
物々交換的なことを始めている人達がいるくらいです。そういうことがずっと自然に根付いている場所がまだまだある…そんな気配に嬉しくなるのでした。
 

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久保さんご一家、ありがとうございました。
 
家族がそばにいて、一緒に仕事をしながら助け合える環境。
「近くにいて良い面も、悪い面もありますけどね…()」と一樹さん。
けれど家族が周りにいて助け合える環境って、何だかんだありつつも、やっぱりいいと思うんですよね。
久保ぶどう園には、家族ぐるみならではの落ち着いた雰囲気が漂っていました。
 
 
次回のえがおリレーは、とにかく身体を動かすことが大好き!だという元気な女性です。どうぞお楽しみに!
 
 
 
 
 

 

えがおリレーvo.11 堀田 博文さん

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第11回目、堀田 博文さんです。
 

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 宮崎県内で美術教師として働いていた堀田博文さん。
ちょうど定年を迎えて退職する頃、高原町広原地区にある“当初は荒れ地のようだった”この場所を見つけて瞬時に気に入り、土地の購入を決めたといいます。
その後建てられたお家は、憧れていたヨーロッパの古い木造建築がモデル。
この辺りの広々とした景色によく馴染んでいます。
そんな博文さんのお部屋には、動物の骨や植物、沢山の絵や書物が置かれていて、いかにもアトリエといった感じの雰囲気でした。
 
―元々絵がお好きだったんですか?
 
博文さん:高校で美術部に入って、ハマってしまったというか。最初は教師をやりながら自分の絵も描けるだろうと思っていたら…とんでもない!(笑)現場に入ってクラスを持ったら、もうどっぷりですよね。学校にいる間は、学級づくりや生徒達と向き合う日々でした。
定年後はお金よりも自分の時間を大事にしたいという思いがあって、やりたいことや趣味を楽しんでいますが…お金も無くなってくるし、今焦ってきてるんですけどね(笑)
 
―(笑)今やっと自分の時間を楽しまれている所なんですね。
 
博文さん:そうですね、他にもまだやりたいことが一杯あって…。
定年して2年後に小林で個展を開いたんですが、今はここ最近書き始めたシリーズに夢中になっていて、この流れで次回の個展をやりたいなと思っています。
あとは佐多岬などへ釣りに行ったり、料理も好きで、キッチンには料理本がずらーっと並んでいますよ(笑)酵素作りにもハマっていて、“これは何でも出来るわ!”と、いちご、びわ、桑の実…何でも試しに作っているところです。
 

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お部屋の棚には思い出の品や、堀田さんの好きなものがズラリ!

 

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机上の壁に飾られている絵は、若い頃のお気に入りの作品。右の絵は最近書き始めたというシリーズで
葛飾北斎にインスピレーションを受けて仕上げたものだそうです。
 

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何気なく置かれた一枚の絵。無造作に置かれた植物と相まって、いい雰囲気です。
「大学生の時に描いた絵。厚手のいい紙なんですが、今はもう無いんですよ…。
これを土に埋めてしばらく置くと、カビが生えたりして思わぬ色が出るんです。
それを取り出しきれいに乾かして元の紙に戻ったところで絵を描くんです。」
 

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★写真から肖像画を仕上げてもらえますよ。ご興味のある方は090-7169-8000(堀田さん)まで。

 

高原町に移住されてきて、好きな所や思う事などあれば聞かせてもらえますか?
 
博文さん:色んな人達をつなげていって、ネットワークをつくれたらいいですね。
お偉いさんだけじゃなくて、地元の面白い人達なんかを集めて会をしたらいいと思うんですよ。高原町の売りと言えばもう“自然”だと思うんです。
いかにこの自然を残していくかということが何より大事じゃないかと思っていて。
水が美味しいでしょ?こんだけ溢れている所っていうのは中々ないですよ。
この水を絶対に守らないといけないし、
この水を守るためには山に手を入れないといけない。
今どんどん杉を切っているけど、そのあとに広葉樹とか植えて自然を守っていかないと。
何にせよ将来大切にされていくのは、この自然じゃないかと思っています。
町に箱物を作っても維持管理費にお金が掛かる訳で…それよりはこの自然を残していくような形で。川をきれいに保つとか、今の自然環境を守っていけたらいいなと思っています。

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博文さん、ありがとうございました。
 
たまたま、お子さんが堀田先生にお世話になったという人に話を聞いたのですが
当時サッカー部の顧問をされており、生徒達からも“ホッタマン”の愛称で慕われていたとか。定年後にも家を建てる時など…何かしらの際に出てくる生徒さん達からのサポートの話。
きっといい先生だったんだろうなぁ~という雰囲気が、その幅広い知識や探求心、優しいお人柄に滲み出ているのでした。
「先生時代にはもう、心をすり減らしましたよ…」そう笑う博文さん。
これから先も充実した日々を楽しんでいって下さいね!
 
次回のえがおリレーは、ご近所さんの「久保ぶどう園」をご紹介いただきました。
ちょうどこれからが旬の季節ですね~!どうぞお楽しみに。