オレンジカフェ/ボディ&フェイスケア美香

高原町には、認知症の方々やそのご家族、地域の方々など誰もが集える「オレンジカフェ」という場が2カ所(広原・狭野地区)設けられています。

オレンジカフェの発祥は、オランダのアルツハイマーカフェと言われており、元来はノーマライゼーション(障がいがあることや高齢であることなどの特徴を持つ人も、その人らしくともに社会で生きられることを実現させるという考え方)を目指したものです。

そして現在、日本では高齢化社会が進むと同時に認知症と診断される人も年々増えています。従来は病院や施設を利用せざるを得ないという方針でしたが、現在では「認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた環境で暮らし続けることができる社会の実現を目指す」という流れに方針が改められました。

そのため、認知症の方やそのご家族の話を聞いたり、悩みを打ち明けたりできる場の一環として、各地域で取り組みが行われています。

今回は狭野地区にあるオレンジカフェへお邪魔しました。元々介護の仕事をしていた倉住美香代さんが月1回、水曜日の午後(14時~16時)に開いています。

主に「回想法」を使っての会話がメインになりますが、皆さんお茶を飲みながら会話に花を咲かせ、とても和やかな雰囲気。ふらっと誰でも参加できるような気軽さが心地良く、あっという間に時間が過ぎていきます。ここでは現在〝認知症予防〟ということで、主に60代~80代の方々が参加されているようです。

倉住さん認知症の方やご家族の方々ともお話出来たらいいのですが、現在はまだ出来ていないですね。一日のうち誰かと少しでも話す時間を少しでもつくらないと…。こういう集まりの場を設けて、お茶を一杯飲むだけでも違うと思うんです。本当に一日中一人でいたら認知症になっていってしまう。人と触れ合わないことで発症するものなんですね。いくらスマホやテレビ電話をするといっても、人の温かみやエネルギーみたいなものを直に感じることはできませんよね。“生の声を聴く”そして、その人の存在を感じることが一番大切だと思います。」

ここ数年は特に流行り病の影響もあり、人とのつながりが薄れがちな日常があります。そんな中だからこそ、こういう場に少しでも足を運ぶことで、気分転換や出会いのきっかけになるかもしれません。そして美香さん自身の経験から「介護する側の方々にも癒しを届けたい」とリンパマッサージとエステをメインにしたお店をオープンされました。

空家だったご実家の一室をリフォームして施術室に。

倉住さん「自分がケアマネージャー(介護支援専門員)をやっていた経験から、精神的な疲れなどの癒しができたらいいなと思って、リラクゼーションの仕事を始めました。女性はやっぱり…年齢と共にしみ・しわは気になるしね。若いうちから自分の体を大切にしとかないと、後々ひずみがでてくるし、年齢を重ねていくほど元気でいないと!子どもが手を離れてからこそ、家族のためにも楽しくやっていきたいもんね。」

フェイシャルエステの施術中。顔の血流も良くなり気持ちよさそう!

倉住さん、ありがとうございました。

現在57歳だという倉住さんの若々しさにビックリしていると「まぁ~うれし!ありがとう~」とカラっとした笑顔を見せてくれました。介護関係の仕事を通じて、今まで沢山の病気の方、そのご家族含めて接してきた経験があったからこその、“癒しの仕事”をしたいという気持ち。人のために何かをしたいという純粋な想いから施される癒しのエネルギーに触れて、周りの人達もきっと元気をもらうに違いありません。

“生の人の存在を感じる” このことは、人との距離を取りがちな日常になって私も改めて気づいた大切なことでした。身近な人達に改めて感謝を想い、自分も「会うと元気になれるような人」でいたいな~!と思ったのでした。