蕎麦庵みやなが


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祓川水源の近くにある『蕎麦庵 みやなが』
祓川の湧水を使用した美味しいお蕎麦が評判で、週末は沢山のお客さんで賑わっています。ご自宅をお店として構えられ、お手入れされた広いお庭には湧水を引いた池などもあり、自然と心が和んでくるような雰囲気です。
 

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お店が始まったのは、およそ11年前。
ご主人の長治(おさはる)さんが、経営していたクレーン会社を息子さんに譲った後の新たな挑戦でした。元々祓川出身で幼い頃から神楽そばが身近だったこともあり、蕎麦に対しての思い入れは筋金入り。
そんな蕎麦好きが高じて職人さんの元で蕎麦打ちを習い、調理師免許を持っていた奥様と一緒に念願のお店をオープンするに至ったのでした。
 

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店内の様子。元々夜神楽でふるまいをしていたご自宅には一晩で300人来たことも!「だから徐々に広くしていって…広さはあったんですよ()」空間が生かされ、独特の落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
 
おかげ様でお店は順調。客足も絶えることなくここまで続けてこれた…
と言う長治さん。
お話を聞いていても、始めからごく自然に物事が流れているように感じます。
「蕎麦は水も大事。ここは美味しい湧水もあるし、無理なくやれていますよ。
こういう土地でないと井戸を掘ったりしているところでしょうからね」
 

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こちらは「天婦羅ざる蕎麦」コシのあるお蕎麦と丁寧に作られた出汁。脇には季節の天ぷらやお漬物などが並び、素材の味わいを引き立てます。お蕎麦を頂いた後の蕎麦湯がまた美味しい~!
 

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毎年12月の第2土曜に舞われる『祓川神楽』。そこで振る舞われるお蕎麦が通称“神楽そば”です。
祓川地区の人達にとって、蕎麦はなじみ深い存在です。
 
「祓川は自然豊かだし、水も綺麗で最高の場所ですよ」と奥様の信子さん。
お客さんにも“また来ます”と言ってもらえて、今度はご家族や兄弟と一緒に来て下さったりしてね。お店を通じての出会いも沢山あって本当に良かったです…とほほ笑みます。
 
そんな風に馴染みのお客さんからも愛されているお店ですが…
「もう店を閉めようと思ってるんですよ」とのお言葉が。
えぇ!?とびっくりです。

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信子さん:ぼつぼつやれればいいんですけどね…
土日の忙しさが中々大変なんです。
この辺は皆さん年配で(お店の手伝いを)頼めるような方がいないんですよ。
なので急遽どうしてもって、遠方の親戚にお願いして手伝いに来てもらったりしている状況なんです。もう年も年ですしね…(笑)
今のところ営業は今年の10月一杯かもしれません。
年末の蕎麦はやりますが、今後は様子を見ながら予約のみのお客さんでやれたらいいのかなとは思っています。人手がいないと皆様にご迷惑をかけますからね。
 
“それは、例えば土日だけでもお店を手伝う方がいたら続けられるものなんですか?
”と尋ねると、そうですね…とのお返事が返ってきました。
 
そこは何とかならないものだろうか。
土日パートをしてくれそうな人…思わず頭の中で探してしまいました。
お店が無くなってしまうのが残念なのは私だけではなく、沢山おられるはずです。
無理なくやれるのであれば、土日だけ、予約だけでも続けられる可能性はありそうですが、今後も何かしらの形でお店が続いていきますように…と願うばかりなのでした。

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宮永さんご夫婦、ありがとうございました。

 

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たかはる人のお仕事事情~山口 幸恵さん(薬草店勤務)~

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福岡県太宰府育ちの山口さんは、今から半年程前に高原町へ移住してきました。
定年を迎え故郷である鹿児島に家を建てたご両親が、高原までドライブに連れてきてくれたことをきっかけに、実家へ帰る度に高原町へ出向いては神社や御池などをまわり癒される…というドライブコースが定番になっていったそうです。
 
山口さん:ある時「山下薬草店」が人を募集しているのを知って。その時は鹿児島の実家で暮らしていたんですけど、まずは薬草店に通いながら家探しして、高原町に住んでみようかなと思ったんです。通勤の距離はあるけど、好きな職場と好きな場所だったから迷いもなく…(笑) 元々神様や神社、神楽もすごく好きだし。それに水のきれいな所に住みたいっていうのが一番…!そして自分が恵まれていたと思うのは、もう移住する前に仕事場を見つけて働いていたから、逆に安心して生活を始められたことでした。
 

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山下薬草店での仕事風景。細い身体で力仕事も何のその!和気あいあいと楽しそうです。

 
―そうですね、いきなり全部スタートじゃないから…それは良かったですよね。
 
山口さん:職場も従業員同士の絆がすごく強くて、引越の時にも皆手伝いに来てくれて…。引越当初は、それまで全く古い家に住んだことがなかったので(家のことで)困ることもあったけど、そういうのも職場の人に見てもらって解決したり。
助けてもらえる環境があって、本当に幸せだなぁと思います。
 

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小さなお子さんと二人暮らし。「子どもに人間らしい暮らしを教えてあげたい。大人になって生き方を選ぶのは彼だけど…」その気持ち、同じ母としてよく分かります。
 
山口さん:周りの人、近所の人達もすごく良くしてくれて。二人で散歩していると「おいでおいで~」って家に上げてくれたり「ちょっと待って~!」ってわざわざ追っかけてきてくれて、野菜やお菓子をくれたりとか(笑)
 
―わ~!すごくいいですね。あたたかい…
 
山口さん:なんかもう本当、子どもありきです(笑)
子どもが少ないから喜んでくれるんですよね。
うちの子にとっても、爺ちゃん、婆ちゃんがいっぱいいる環境(笑)
申し訳ないと思いながら…いろいろありがたいです。
 
―聞いているだけでこちらも嬉しくなります。
高原町へ移住したいと相談に来られる方達が主に心配されることに、仕事のこと・生活費のことがあります。山口さんはお一人でお子さんを育てていらっしゃって立派だなぁと思うのですが、生活のことについて、少しお聞きしてもいいですか?
 
山口さん:そうですね、何だろう…以前よりも今の方が、いい暮らしかな。
我慢はしていないし、元々暮らしを大切にしたいという気持ちがあるので、仕事もガツガツする感じでもない。今は9時~17時の勤務時間で、週5~4日働いている状況なんですが。

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藍染めが好きな山口さん。藍をこんな風にドライにして束ねるのも素敵ですね。

 

―仕事自体はどういった内容になるのですか?
 
山口さん:体力はすごく使う、肉体労働的な時もありますよ(笑)
仕事自体も軽くカルチャーショックというか、こんな仕事もあるんだ~!と思ったり(笑)薬草の選別、細かい作業だったり…今まで接客業を主にしていたから、田舎らしい仕事をしているなという感じ。おばちゃん達が座ってするような…そんな感じがちょっと嬉しいというか(笑)ストレスとかはあまり感じることはなくて、むしろ達成感の方が大きいですね。
 
―いいですね。じゃ仕事も得て、お家も素敵な所を見つけられて。野菜も新鮮なものを食べられるし…それでいいですよね、しあわせだと思う。
 
山口さん:“衣食住”ってありますけど、家がすごく快適で、食品も新鮮で肉なんかも安いし。お金をそんなに使わない分、他のことにも使える。娯楽といっても、「どこか呑みに行きたい」とかにはならなくて、皆で持ち寄りごはんして集まろうか~ってなる感じだから。

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山口さんの借りている一軒家。静かで景色のいい環境にあります。

 
―もう充分聞けているかもしれませんが…最後に高原町の魅力は何でしょうか?
 
山口さん:何もないところ、になるのかなぁ。自分が元々“暮らしを大事にしたい”っていう気持ちがこれからのテーマとしてあったから、それをストイックではなくて、程よくさせてもらえる環境がちょうどいい感じです。
まだまだ知らないことは沢山あるけれど、今思いつくことはできているので…これからも楽しみですね。

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山口さん、ありがとうございました。

 

「シングルマザーとしてのことも全然話しますよ」と言って下さり、色々とお話してくれた山口さん。離婚後実家にしばらく居た時期は、やはり金銭面など不安もあったそうですが「元々、どうにでもなるさ根性がいつも凄くて…死にはせんやろというか()」そう思っていたら、思ってた以上の暮らしができていると言います。
事を起こす前に慎重に考え込む人もいれば、とりあえず行動し、その都度考えて進んでいく人もいますよね。色んな生き方がありますが山口さんを見ていると、その時々の風をつかんで、とっても軽やかに楽しまれている様子。玄関先にひっそり置かれているカマを取り出し「変な人が来たらこれで追っ払うけんね!」と満面の笑みで明るく笑っていたり…。
“自分が楽しんでもいいっていう意識を持っていたい”
そんな風に生きていると、周りも明るくなるだろうし、勇気をもらう人もいるはず。まさに“母は強し”だなぁ~。見た目は華奢だけれど、しっかりとした芯の強さを持つ山口さんを見ていてそう思うのでした。
 
 
 
 
 
 

 

えがおリレーvo.10 倉住 宜實さん

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第10回目、倉住 (たか)()さんです。

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宜實さんは20年以上、高原町で木工所を経営していました。
全国各地へ、主に陶器箱などの木箱の材料を配送していたそうです。
工場を閉めてからは自分の時間を楽しむ時間もできましたが
元来のものづくり気質は変わらず健在で、庭先の水路に水車を作り発電する仕組みを作ったり、木のお面やトロフィーを作ったりなど…
様々な趣味を楽しまれている様子です。

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ウワサの?水車は台風被害により取り外されていました。

 

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ご自宅前の水路にあった小さな…水車?「これは昔からあるイモ洗い機だよ」
中に土のついた野菜を入れると、水力でキレイに仕上がる便利なもの。
水のきれいな土地ならでは、ですね。
 

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過去に木のトロフィーを製作された際の名残り品。木ならではの温かみのある雰囲気です。

 

(たか)()さん:以前は狭野杉(※狭野神社の杉)でトロフィーを作りました。
狭野杉は名木ですからね、台風などで倒れてしまったものを使うんですね。
木工所をやる前は、杉の葉などで線香の原料を作っていました。
葉を切って、乾燥して、その原料を加工会社へ送って。
ブナの木の皮なんかは、仏壇用の線香が出来るんですよ。
 

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今年の棒踊りの様子。笠をかぶった唄い手の真ん中が宜實さん。

 
狭野神社で約400年続く伝統行事・御田植祭で披露される、五穀豊穣を祈願した「棒踊り」の唄い手でもある宜實さん。独特の唄い方や温かみのある声には、懐かしさのようなものも感じ、これから先もこういった生の唄声・伝統が絶えず引き継がれていくといいな…と願うような気持ちになります。
 
宜實さん:時期が来ると、棒踊り保存会の人達と歌の稽古をしています。小学校でも45年前から棒踊りをやっていますからね。狭野神楽も、区の行事になってからは舞い手が増えました。これからも続いていくだろうと思いますよ。
 

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 そしてこちらは、町内にある「高齢者工芸センター」
年配者の方々が豊かな経験と技術を活かして民芸品等の生産
や技術伝承の拠点となるよう建てられた施設です。
この場所を使って何かやろうか!と発起した宜實さんは
地域の仲間さん達に声を掛けて、夏頃からここでのものづくりをスタートさせる
予定です。現在は中にある機械の修理をしたりなど、着々と準備中…。
「これからがまた楽しみです」とほほ笑む宜實さんなのでした。
 

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宜實さん、ありがとうございました。

 
ゆったりと、腰の据わった雰囲気の宜實さん。
その穏やかな空気には、高原の地にしっかりと足をつけて生きてきたという、味わい深い気配が漂っていました。
今後もお仲間さん達と共に、ものづくりを楽しんでいってくださいね!
次回は移住者のお方…「魚釣りが好きな面白い人ですよ」とご紹介いただきました。どうぞお楽しみに…!
 
 

田中椎茸

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高原町で原木椎茸の栽培をされている「田中椎茸」さん。
自然栽培にこだわっており、霧島裂罅(れっか)(すい)を使用し大切に育て、仕上げに薪室で乾燥させた乾シイタケは、肉厚で旨味たっぷり!味の良さに定評があります。
それでも数年前の新燃噴火時には、降灰の影響からシイタケを全廃棄せざるを得ない状況になるなど、大変な苦労をされた時期もありました。しかし、そんな厳しい状況も何とか乗り越え、有機JAS(※農薬や化学肥料などを使用せず、自然界の力で生産された食品と認定されたもの)の取得をクリア。去年には晴れて『ひなたGAP(※東京オリンピックパラリンピックに食材提供できるとして県が審査・認証する基準)の認証を受けました。
 

―田中椎茸さんのシイタケ、プリッとした形で見るからに美味しそうですね。

 

邊木園(へきぞの)さん:おかげ様でね。皆さん、美味しいと言って下さるんだけど…自分で作ったものって野菜でも、何でも美味しいですよね。この前私の作ったシイタケスープを食べた人が、「砂糖が入ってるんじゃないか」って言うのよ。うまみと甘みがすごいもんで。
砂糖なんて入れてませんよ(笑)自分達がシイタケで加工品を作るときにも、手にベタァーとうま味成分がつくんですよ。あれが栄養分なんだろうな、と思うんですよ。

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乾シイタケを水に一晩漬けておくだけで、プリプリのシイタケと出汁が完成!料理に幅広く使えます。
その他、手軽に使える加工品開発にも精力的に取り組まれています。
 
乾シイタケと生シイタケの違いを聞いたところ「生シイタケに対して、干しシイタケは10倍も栄養価が上がるし、うま味は23倍も違うのよ」とのこと!
ならばもっぱら乾シイタケを食べるほうが良さそうですね。
 
そんな中、“原木椎茸・乾シイタケの魅力を広めたい!”と様々なレシピを公開している邊木園さん。特にアヒージョやステーキにして食べるのが簡単で美味しくオススメだそう。他にも、乾シイタケの戻し汁を朝飲む人もいるとか。それには血圧を下げたり、肝機能を整えるのに良いと言われているようです。

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こんな感じで手頃なボトルに水と一緒に入れておけば、いつでも便利に使えます。

 

邊木園さん:今はあくまで『キノコのうちの一つ』として見られているから、もう少し“原木椎茸”というものを発信していきたい。えのきやしめじは菌床栽培です。原木椎茸は自然の中で栽培されたものなので、そこを発信し広めていきたい。
 
―えのきやしめじは手軽に使えますもんね。でも原木しいたけは栽培の仕方から違っていると…。「きのこの一種として見られている」と聞いて、ん?と思ったけど、確かにその違いが見えてきますね。
 
邊木園さん:うん。同じ菌類ではあるんだけど、栽培の仕方から全く違うんですよ。
それに、核家族から始まり、女性が働くことで料理に手間を掛けられなくなってきて…ていう世の中だからこそ、簡単に使えるんだよってことも伝えたい。手の込んだものは中々しないですからね(笑) 日本の三大旨味の一つでもあるわけだから…。
 

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シイタケ栽培の最初の段階。
まず大量の原木を伐り出し、穴をあけ、シイタケの元となるコマ打ちをしていきます。
 

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この時は高原町のワーキングホリデー制度を利用し、関西から大学生が研修に来ていました。
「労働の大変さを実感した。高原町にまた来たい」とのことでした。
 
高原町の良さや伝えたいことなどがあれば、ぜひ聞かせて下さい。
 
邊木園さん:ここは本当に住みよいところだと思います。
子育てするにもいい場所だし、なんの心配も無く生活してきましたからね。
空気もいいし、高速ICもすぐそこにあるしね。これだけ眺めのいいところはないと思いますよ。自分たちは毎朝山を見て、あーっ(のびの仕草)と起きて、夕方にもまた山を見て「一日が終わった…」という実感のある生活をしている。
霧島裂罅水、霧島おろしの恩恵も受け、それで食物も美味しく出来るという土地ですからね、非常に良いところだと思いますよ。
さらに欲を言えば、(地元の人)ひとり、ひとりが凄くいいものを持っているので、皆で協力し合って何かできればいいなぁ…!という想いはありますね。
 

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邊木園さん、ありがとうございました。
 
今後目指すは、オリンピック!!
田中椎茸をオリンピックで食品として提供したいという野望をお持ちです。
実際に参加したミラノ万博では、シイタケの試食が飛ぶように無くなり、イタリアの有名シェフから店の食材として選ばれるなどの高評価をもらいます。海外でしっかりと手応えを(つか)んだことも自信となり、“とにかく原木椎茸の良さを広めたい”
その一念で、ご家族と共にシイタケ栽培へ精を出していらっしゃいます。
 
けれど数年前2度にわたり降灰の影響を受けた際は、ひどく落胆し生死を考える程だった…という邊木園さん。それから今のエネルギーに満ちた様子を見ていると、辛い経験を得たことで更にパワーアップされているようにも感じます。人生、山あり谷あり。けれど一番は、毎日笑顔でいることが大事なのかもしれない…と。ありきたりですが、運を引き寄せるかのような邊木園さんの明るい笑顔を見ていると、そんなことを実感したのでした。
 

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えがおリレーvo.9 入佐 征一郎 さん

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第9回目、入佐 征一郎さんです。

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元々高原で生まれ育った征一郎さんは、現在76歳。
「若い時は元気だったし、前しか見ていなかったね」とおっしゃるように
28歳の時に自分で池をつくり魚の養殖を始めた誠一郎さんは、牛の世話をしながら
建設会社の運転手などをこなし、毎日懸命に働いていました。
そして、魚をさばきながら牛小屋には(衛生上)行けないから…と
ニジマスの加工品販売を始めたらそれが大当たり。
寝ずに作っていた時期もあったそうです。
 

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作業場の一角。朝4時に起きて池に魚を取りにいき、ご夫婦でニジマスの甘露煮を加工しています。
 

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加工したての甘露煮がどっさり。そのままでも、お米と一緒に炊いても美味しい一品です。
(※町内では高原駅売店に置いてあります。)
 
そんな苦労と引き換えにか、とても若々しく見える征一郎さん。
「元気があれば、何でもできますよね。昨日は山へ入って足をくじきましたが()
蜂蜜取りもしているし、田んぼもしています。池も離れた所に2カ所あるんですよ」
 

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魚を養殖している池は、山奥のとても気持ちのいい場所にありました。
「ここで昼寝するのが好きなんです()」湧水が溢れ出るパワースポットです。
 

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池にはニジマスの稚魚、鯉やヤマメがイキイキと泳いでいました。


もう40年以上にもなる入佐養魚場。
特にコイのあらいは根強いファンが多く、昔から取引のあるスーパー各店や
最近では有名シェフのお店にも卸しているそうです。
 
征一郎さん:まぁでも身体が続かなくなってきてますよ。老体にムチ打ちながら、あと1年、あと1年でここまできているんですよね。
近くには他に3人位しか魚をする人がいないので、やめたら困るんでしょうね。
考えようではありがたいことですがね、
この年齢になってまで仕事があるってことは。
 
―きっと人に必要とされることって、すごくエネルギーになるから…
 
征一郎さん:それですよね。気持ちでやってあげたことが喜ばれて、バーベキューをごちそうしてもらったりすることもあるし。
そういう人付き合いは沢山、ありすぎる位あります(笑)
ちょうど今の時期は知人の弁護士さん達が、うちの池周辺にホタルを毎週見に来るんですね。小屋に泊まり、そこから山登りへ行ったりしていますよ。
8年前くらいから毎年!よっぽど高原がいいんでしょうね。
 
―そうなんでしょうね。征一郎さんの思う高原のいいところは何ですか?
 
征一郎さん:一番好きな所は…やっぱり霧島山が見えるところですね、最高ですよ。景色のいい場所は他にも沢山ありますからね。
 

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広原駅周辺の入佐養魚場の前には、吉都線がずっと続いています。
この風景が大好きな征一郎さんは、10年以上前から毎年コスモスの種をお一人で撒き、線路沿いの風景に花を咲かせているそうです。
「きれいですもんね、いつも目にする場所だから…」
と日頃から当たり前のように、周辺のお掃除や花のお世話をされています。

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そんな風にお話を伺っている中、人との関係性に豊かさを感じたことから
“人徳があるんですね”と伝えると「いや、そんなことは無いんです。ただ人を喜ばせることが好きなだけです」とおっしゃいます。
 
征一郎さん:きれいですがね、人を喜ばせるっちゅうことは。
私はそういうことをするのが好き、だからお金は一銭も持ちません(笑)
 
―けれど、その分いろんなことが巡っているように思います。
 
征一郎さん:うん。こっちを喜ばせれば、あっちから返ってきますよ。
やっぱりこっちは助けとかないかんし、だからといって(困っている人に)見返りをもらおうとは思わんですがね。
何かいいことをすると、違う所から返ってくるんですよね。
お金も使った時は入ってくる。
今日は沢山売れたな~、あぁこの間使ったからだな、とかね。
それを貯めこめば欲がでますけど、人を喜ばせることに使いたい。
喜んでもらえるとこっちも嬉しいし、ありがたいことですよ。
そういうのが好きなんですよ、馬鹿だから(笑)
 
一度シェフの店へ魚を卸すのに、日を勘違いして間違ったことがあるんですよ。
そこにはすでに潰してしまった魚…。さて、これをどこに持っていこうかな~となるわけです(笑) その時は近所の知り合い2軒分、鯉こくにして持っていきました。
 
―いいですね。一見やってしまった失敗だけど、それを違う形でよろこびに変えられるっていうこと。うれしくなりますね。
 
征一郎さん:うん。損はしたけど、よろこばせた分はお金には変えられない
うれしさがありますからね。
 

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征一郎さん、ありがとうございました。
 
「朝、神棚に水をあげて、一日にひとつはいいことをしようと拝むんです」
そんなことをさらりとおっしゃる征一郎さん。
心の整った人…という言葉が浮かぶような在り方、
こんな方がいらっしゃるということ自体に、嬉しい気持ちになるのでした。
 
次回のえがおリレーは“水車で発電機を作ってるおじさん”だとか…?
どうぞお楽しみに!
 
 
 
 
 
 
 
 

しぜんを愛でる ~自然の恵みをいただく【ワラビ採り】~

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自然は好きだけど、普段の生活の中ではいまいち身近に感じない…。
そういう方って結構いるのではないでしょうか。
今回は、高原で生まれ育ち、山歩きが大好きな人生の先輩であるトシコさんに付いていき、季節の山の恵みを教わってきました。
 
車で山の方へしばらく走っていくと、ワラビの採りやすい場所があるといいます。
「あぁ、もう(やぶ)になってるけどね~。降りてみましょうか」
早速車から降りて、道沿いの土手に目を向けてみると…

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これ、何だか分かりますか?〇で囲っているのが「ワラビの親」
よく見ると、生い茂る土手の茂みにワラビがニョキニョキっと顔を出しています。
 

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サクサクとワラビを採っていくトシコさん。
(やぶ)ってくるし、今の時期はもう採る人いないかもね~」
けれど、後々のものはよく水分を吸っていて食感が柔らかいそうです。
 

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「この辺のは小さいけど、こういう枝分かれしているのはお味噌汁に美味しいよ」
目が慣れてくると、次々に見つかるワラビ。
採りだすとハマってキリがありません()
 
「無心になれていいのよね~、山の方にくると気持ちがスッキリする」とトシコさん。まだ少し来ただけだけど、その気持ち分かるなぁ~と思わず深呼吸。
「あんまり根っこの方から取らなくていいからね、下の茎は固いから」
まだ要領がつかめませんが、ほどほどの場所でプツン、プツンと採り続けます。
 

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その後、山の方を少し散策しながら「あっ!咲いてる~!」と見つけたのは
キンランという花。森の中でひっそりと自生していました。
「ギンランっていう白い花もあるのよ」と、いとおしそうに見つめています。
「私はこういうの、絶対に採らない。この場所でこそ咲いているものだからね」

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…けれど昔に比べて、本当に見かける数が減ったのよね~、と寂しそうにポツリ。
日々自然と接しながら鳥や動物、植物を観察していると、ちょっとした変化でも色々と分かることがある。本当に、ここ数年の間だけでも自然環境が変わった…と嘆きます。
 

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そしてこちらはキイチゴの実。
土手の茂みに点々と自生していました。
実の小さな一粒、一粒がつやつやに光っていて、なんとも可愛いお姿。
枝にトゲがあるので注意しながら、指先で優しく包むように実を外すと、
ポロっと綺麗に取れます。
小さくて色のうすい黄色のものはすっぱくて、
山吹色のように濃い黄色のもちっと弾力があるのは甘くて美味…!
口に含むと舌先だけの美味しさじゃなくて、身体がきゅっとよろこぶような味です。
 
「あっちも良さそう、ほら!行ってみる?」
ニコニコしながら、ほら、ここにもあるよ!と楽しそう。
食べたいというより、いい実を見つけて手で採ること自体が楽しい!
鳥のさえずりを心地よく聞きながら、無心に山道を散策してしまいます。
 
そんな風にしていると、あっという間に時間が過ぎていってしまいました。
「まだまだ色々あるんだけどね~」 私も興味深々です!
 
…と、こんな感じで、今後もブログにて自然と親しむ術をご紹介していきたいと思っていますので、どうぞお楽しみに!
 
そしてご存知の方もいると思いますが、せっかくなので
ワラビのアク抜きの仕方までご紹介します。
最初にトシコさんがアク抜きしたワラビを見て「きれいな色だな~!」と思った私。
それまではワラビって茶色いイメージしかなかったのです。
色自体はワラビの種類によるのかもしれませんが
簡単・きれいに仕上がりますよ。
 

トシコさん流・ワラビのアク抜き法

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まずは下処理。根を揃えて(固い部分を切る)鍋にお湯を沸騰させます。
 

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② 炭酸(重曹)を二つまみ程、全体に振りかけます。
「いつも目分量なのよ~()
写真の量で、表面がうっすら白くなるくらいの量です。
 

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③沸騰した鍋の火を止め、一旦落ち着かせたお湯(※でないとワラビが煮えてしまう為)
をかけて、混ぜながら全体になじませます。
(少しずつ何度かに分けて混ぜていきます)
 

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④しっかり浸かる位にお湯を入れたら、最後に落しブタ(無ければお皿でも)
をかぶせて、自然に冷めるまで待ちます。
冷めたら、何度か水洗いしてアク抜き完了です。
 

 

 

 

 
 
 
 

 

 

~たかはる人のお仕事事情~牛飼いの若き女性たち

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 皆さんは「牛の仕事」と聞いて、どのようなイメージを持たれますか?
 
私自身はこれまで関わりや接点が無かったこともあり、大自然の中でおじさんが牛のお世話をしている…くらいの風景がぼんやり浮かぶくらいでした。
そんな中、突然そのイメージを覆され、軽くカルチャーショックを受けたきっかけとなったのが今回ご紹介する女性たちです。
 

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向かって左から、鬼塚 麗奈さん/米倉 桃子さん/久保 寿美香さん/原田 三奈代さん

 

初めて皆さんにお会いしたのは、とあるTV取材へ同行した時のこと。
可愛らしい女性たちがお揃いのサロペットに長靴を履き、大きな牛たちを誘導したり、せっせと牛の世話をこなす姿が新鮮で、なんだか素敵…。
わぁ~っと内心感動すら覚えたのでした。
 
最近では「農女」(※農業に関わる女性)という言葉もよく聞かれるようになりましたが、実際に農業を担う人口の半数は女性が占めているようです。ただし平均年齢は65歳以上ということで、農業に関わる若い世代は大きな可能性を秘めている貴重な存在と言えそうですね。

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お仕事中の原田さん、4姉妹の3番目です。「この子は昔から特に動物好きで、よく牛舎にいたんです」
とお母様。ご主人を早くに亡くし、周りに支えられながらも頑張ってきましたが、今では娘さんが立派な右腕。急な牛のお産の時なども本当に頼りになる存在です。
 
 
彼女達は日々、各自の持場で仕事に精を出しています。それぞれが想いを持って家業を継いでいたり、JAの牧場で働いていたり…。そんな4人の共通点は、同じ農大出身であるということでした。特に「奇跡的に集まった」同世代の仲間だそうで、一緒に遊んだり、誕生日を祝い合ったり、仕事のことでも何でも皆で相談し合う…とてもいい関係のようです。
 
 ―皆さん、初めて見た時からキラキラしていて(笑)会ってお話聞いてみたいな~と思ってました。最近農業に興味を持つ若い世代も増えてきているみたいですし、簡単に仕事内容を聞かせてもらえますか?
 
鬼塚さん:牛の世話、トラクターで牧草を作ったり、牛を品評会に出したり、出産があるときは寝ずに朝まで付きっきりのこともあるし。…牛に関すること全部、牛の何でも屋さんみたいな感じです。
 
米倉さん:私はJAの技術員として務めているのですが、毎日牛と触れ合いながら、品評会などで審査する立場…指導係みたいな仕事をしています。(※米倉さんは兵庫県出身。「宮崎は人もいいし皆もいるから…」と大学卒業後もこちらで働かれています。高原町在住。)
 
―皆さん同じ農大出身ということですが、学校での学びから、いざ実際の仕事をしていくとやっぱり全然違うものだったりしますか?
 
鬼塚さん:うん、思うようにはいかない。教科書通りではないし…だから皆もう一生勉強!
 
久保さん:正解がないもんね、そこが面白くもあるし、難しい所でもある。それを見極めていく感じ…。
 

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原田さん:辛いこともあるけれど、その分うれしいことがあるのが大きい。
牛が産まれた、品評会に行けた、ちゃんと出荷できた…とか。
 
鬼塚さん:農家さんの所に行って「あの牛はよかったど~」って聞くと
「ありがとうございます!」っていう。それでやりがいを感じるし…。
 

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そんな皆さんに共通するのは“動物が好き”だということ。
牛の仕事の、どういう所が好きですか?と質問すると、牛の目、前髪、表情や仕草など…日々のちょっとした変化を見つけることが好きだという話で、ワッと盛り上がります。
 
牛の顔の違い…!考えたこともありませんでしたが、こうして様々な話を聞いていると牛それぞれに名前があり、感情や性格があって、気持ちの通じ合う関係性があったりなどして…牛の話は尽きません。面白いなぁ~と興味深々です。
 

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さてさて餌の時間!原田さんの動きを察して、この時ばかりはと牛達が一斉にぬっと顔を出します。

 

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町内の牛舎などでよく見かけるヤギさん。尋ねてみると“草取り係”なんだそう。なるほど~。
「すっごく綺麗にしてくれますよ、ただ新芽まで残らず食べちゃうんですよね~()
 
一言に牛の仕事とはいえ、畜産(肥育・繁殖)や酪農などのワークスタイルがあります。酪農の場合は毎日朝夕必ず搾乳があったりなど、生き物相手であるがゆえ“24時間体制”になる牛のお世話。時には同世代の土日休みが羨ましかったりすることもあったそうで…。
 
けれど、そういうお仕事事情も合うのが牛飼い仲間のいいところ。
12回は皆で食事に行ったり、年に一度の旅行へ出かけたり(その時ばかりは牛を家族に任せて)しているそうで、「本当、皆がいて良かったよね~」としみじみ笑顔を合わせます。
まさに偶然であり必然であるような…
奇跡的に集まった牛飼い仲間の女性たちなのでした。
 

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今日初めて外へ出たという子牛と記念に。皆さん、ありがとうございました。
 

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