祓川水源
高原には湧水スポットが多々あります。その中でも特に知られているのが
祓川地区にある“祓川水源”です。なんでも初代天皇(神武天皇)がこの地へ
お生まれになった際に、身体を清められた場所だそうです。
ちょっとわかりにくいですが看板も。近くにお蕎麦屋さんがあります。
水源の入口周辺。区の方々により清掃などの管理がなされており、奥へ進むと水汲み場があります。
高原に移住してくる前、ここの祓川水源へ水を汲みに来ていました。
初めて来た時、絶えず豊富な湧水が自由に開放されている場があるという
ことだけでも、ここで生活することに対して安心感がひろがったのを
覚えています。極端に言えばヒトの身体はほぼ水分で出来ていますもんね。
様々な植物生い茂る初夏の景色。奥にはバナナ…?オアシスな雰囲気!
あと来る度に感じていたのは、ここで会う人が皆ゴキゲンだということ!
気持ちよくあいさつを交わし、イキイキとした表情で水を汲んでいきます。
トラックの荷台に沢山の水ボトルを積んで帰る人も珍しくありません。
そして話を聞くと結構な遠方から来ていたりして…。
“ここの水でお茶を飲むと美味しいのよ”
“水割りにすると最高!” “なんにでも使ってるよ”
そんなことをニコニコ笑顔で答えてくれます。
その様子…単に自由においしい水が汲めるうれしさだけではないような。
“水を汲む”ということ自体を、身体が本能的によろこんでいる感じ。
蛇口から水がジャーという期間、地球の歴史からしたらほんの最近
だしなぁ、魂の記憶からかな~とか。あ、なんか大げさですね 笑
生物たちがいっぱい!甘い香りのする花先に次々とまる蝶々。
水汲み場の脇道を下に降りると、ちょっとした遊歩道になっています。
ベンチにでも腰かけてみると、なんとも気持ちのいい場所ですよ。
湧水がサラサラ流れ、虫も植物もいきいきしていて。
暑い日なんかには裸足になって、冷たい小川にそっと足を入れます。
そうしたら自然と笑みがこぼれ、気分も良くなり
身体もすっと元気になるんです。よかったらやってみて下さいね。
こうはら紫陽花園
緑に囲まれたご自宅の側に、ご夫婦で造られた紫陽花園があります。
到着してすぐ、ふわっと目に入ってくる色とりどりのアジサイ。
入口には“ご自由に散策してください”との看板があり、
早速中へ入ると、樹にハシゴを掛けて何やら作業中の高原さん。
声を掛けると笑顔で降りてきて下さいました。
お忙しいところスミマセン…少しお話を聞かせてくださいね。
ーここの紫陽花園を始めたきっかけは何だったのでしょうか?
高原:「スミダノハナビ」という紫陽花を奥さんの誕生日に子供がくれてね。
それをうちの駐車場に植えたのがはじまり。白くてふわっとしたやつ。
それまで見ていた普通のアジサイとはちょっと違っていたからね、
へぇー、こんなのもあるんだねって興味が沸きだして。
そこから山の竹やぶをずーっと切って、順番に植えていった。
そうしていたら友達やら見に来たりしていたから、じゃあ自由に人が見に
来れるような感じにしたらいいんじゃないか…という、簡単な気持ち。
「墨田の花火」はじまりの花。
ーじゃあ子供さんのプレゼントがきっかけで始まったんですね。
高原:そう。それで周りの人達も“好きにしていいよ”という感じで…
隣の土地の持主も“竹やぶ見てるより紫陽花のほうがいいわ、植えてよ”
といってくれたりしてね。皆の協力で出来ている。ここで使う資材なども、
元勤め先(建設会社)で“いいよいいよ~”て使わせてもらっていて。
お金かけてやってるように見えるようだけど、
お金はかけてない。かけたら(こういうこと)出来ないもん。
…とは言いながら、車椅子で見に来る人達の為に道幅を広げたり、
手すりをつけたり、お茶を頂けるテントを張った休憩所を作ったり…。
そんなことを全部、お気持ちでやられている優しい高原さん。
自然体でおられるからこそ、そんな風に物事が広がっていくんだろうなぁ。
しています。その様子にこちらも元気をもらうようで、うれしくなりました。
「お茶を飲んでいきゃぁらーん?」と皆さんに声を掛ける高原さん。どこから来たの~?
高原:怒って帰る人がいないからね。
こういう場を提供してみてね…世の中がほんとに面白いと思う。
うまく流れる(笑)
ーここを毎年続けられる理由って、何でしょう…?
高原:ここは6月一杯で終わり、それからはまた大変な剪定が待っている。
こつこつ手入れしながら、開園してみんなの笑顔を見て…それが一番。
奥さんが言うのは「皆がよろこんでくれる。そういう場を提供できる
ことが、幸せよね」って。
子供からもらったひとつの紫陽花を植えてみたことから始まり、夫婦でコツコツ
と広げて行ったことが、11年目には紫陽花園として開放することになり…
今年で7年目になるそうです。
身体が元気だったらね…と。その後も園を続けられる可能性もある、かも?
気のいいご夫婦ですから、一見さらりとやっているように見えますが、
維持していくのは体力勝負だし、中々大変なことだと思います。けれど
年に一度、6月だけ解放される素敵なあじさい園へ遊びに来てみて下さい。
梅雨時期に沈みがちな気分も、ふっと明るく優しい空気に包まれていくはずです。
仲よさそうなご夫婦。ケンカをしたことが無いそうです!旦那様に秘訣を聞くと…
「なんでかなぁ…お互い考えてるんじゃないやろか。これ言うたらいかんとかね」
後から来られた奥様曰く…「私がガマンしてるのよー(笑)」やっぱりとっても仲よし。
安真窯
野尻方面から高原町へ向かう道すがら、ふっと目に入る芝生の庭と赤い屋根。
“たかはるの玄関口” そんな言葉も聞かれる安真窯(あんしんがま)さん。
お伺いした日もお庭のバラ色が青い空に映えて、目にも鮮やか!
素敵な佇まいのご自宅兼工房。元々は昔神社を建てる際に職人さん達の宿舎として建てられたものだったそう
お邪魔します~と中へ入ると…「(旦那様は)今作業場にいるのよ~」
一段落してから姿を見せた安行さんは、お話好きでチャーミングなお人柄。
目を見開き語る姿は、どことなく芸術家の岡本太郎を匂わせていて
お二人の作品を見せて頂きながら、あぁ…と納得しました。
旦那様の作るものは大胆かつ理論的で美しいフォルム。
美術展に出展された壺の大作は緻密な幾何学模様が全体に施されていて、
その隙を見せない存在感に圧倒されてしまいます。
じっと見ているとその佇まいや趣深さに笑みが浮かんできます。
素敵だなぁー。
ご夫婦は縁あってこの地で暮らし、仕事・子育て・陶芸に奮闘してきましたが
今は子育ても落ち着き、思う存分大好きな陶芸を楽しめるようになったところ。長年の夢だったことが叶った…と笑顔で話して下さいました。
柔らかな絵、味のある形が奥様らしいティーセット
窯を開けるときは感激ですよ!こどもが産まれるくらいに。
本当、毎回そんな気持ち。(安行さん)
「最大のライバルは家内ですよ」という安行さん。美術展ではお二人共受賞者の常連。その製作期間中は、お互い背中合わせでろくろを回すそう…!
そして一見対照的な作品を作るお二人ですが
「使い勝手が良かったと言われるのが一番嬉しい言葉。その為にもひとつひとつ、考えながら作っている」と言います。
真澄さんも「相手のことを考えて作っている。かっこいいな、素敵だなと思われるような器を作りたいなと思っています」
それぞれの個性を尊重しながら、目指す道は同じ。
だからこそいい関係を築き合い歩んでいけるのでしょうね。
そして実際にお話しているときのお二人の感じというと…
旦那様の歯に衣着せぬ楽しいおしゃべりに、恥ずかしそうにしながらも
安行さん:女性(真澄さん)は音楽聞きながらでもするけどね、
あれがよう出来るなーと。こっちは息止めてやってるのに (笑)
真澄さん:私はずれてたりするのでいいと言うのに、
笑顔の絶えないご夫婦との時間。
その中には、独特の風合いが魅力である新燃岳の火山灰を土に練り込んだ“新燃焼”もあります。他にも真澄さんが作られた陶器のお人形や小物が置いてあったり、以前芝生のお仕事をされていたご主人のお庭づくり(プロ並み!)も見ごたえあり…!
魅力が、きっと見つかるはずです。
これ、なんの木か分かりますか?…モミジの木ですよ。なぜゆえ、この形に??
という質問さえ無意味に思えてくる、この存在感…なんかすごい。そして好き。
※風に吹かれるとホワンホワン、傘の揺らぐさま…なんとも可愛らしいですよ~
根元から見上げてみる。ほぉあー。
齋藤養蜂場
やさしい木漏れ日の差す場所に、巣箱は置かれていました。
燻製器で杉の葉を燃して(私達ヒトの)においを中和させてから、巣箱へ向かいます。
ミツバチさんがぞろぞろと出てきますよ…
ひゃー。巣箱の中にワンサカ、びっちり!!!
齋藤:お昼前後に気温が上がってくると、どんどん出てくるよ。餌は一番いい
砂糖をあげている、でないとハチも下痢をするからね(!)
保健所の検査なども厳しい、けどそこをクリアしているからこそ
日本のはちみつの品質は保たれているわけですよ。
今は養蜂場をやる人が減ってきていて高原も一戸だけ。
(※30年前は8軒ほどあった時も)
後継者問題もあるけれど、蜂が減って飼育が難しくなってきている。
デリケートな生物であるからヘリコプターの農薬散布ですぐポタン、ポタンと
落ちて死んでしまったりする…。
例えば外国産のはちみつなどがどうして安値なのか…?
理由や品質の違いなどを理解した上で、消費者も商品を選択すること
が大事だと思いますね。
※苦手な人もいるかと思うので、小さめに…
ハチは産まれたら、まず巣の掃除から始まるんです。
山下薬草店
今回お邪魔してきたのは、薬草茶を加工・販売する“山下薬草店”さんです。
山下:お店は祖父母の代から始まりました。当時はリアカーを引いて薬草を採っていたみたいですね。リアカーを引きながら薬草を採っている人たちの家を廻ったりもして。その時代(戦後)から引き継がれてることになります。
お店の一番の特徴としては原料の仕入れです。うちの場合は自社で栽培するのではなく、地域の人たちに自生している薬草を採ってきてもらい、買い入れているのが一番の特徴です。高原、西諸県郡を中心に広範囲で質のいい薬草を採ってきてもらっています。
このあたりの薬草は他とどう違うの?とよく聞かれるんですけど、明確な違いはわかりませんが…いわば野草、雑草じゃないですか(笑)
うちみたいな仕事が始まったのは、いい薬草が育つ環境だったからでしょうね。
水の良さ、気候条件とか雨の量だとか。薬草の育つ環境・条件が良かったんでしょう…。以前大阪の取引先で勉強した経験が、今役立っています。
うちの薬草は業界内での評価がすごく高かったんですね。けれど問題はそれがすごく安値で取引されていたこと…それが勿体ないなという想いもありました。
だから商品としてちゃんと作ったり、見せ方にも力を入れ始めて、
最近新たに色々と思考錯誤しているところです。
ネット販売もされている山下薬草店ですが、今年4月からシンプルなデザインのパッケージに切り替えられていい感じ。ちょっとしたギフトにもぴったりです。
高原町の好きなところは?の質問に
「まぁ…しずかなところですよね~」と笑う穏やかな雰囲気の山下さん。
お休みの日はゆっくり過ごしたり、お仲間さん達と音楽活動をされているそう。
ここからまた新たに、薬草の魅力が拡がっていくといいですね。
黒板に描かれた奥様の手描きイラストが素朴でかわゆい…。