齋藤養蜂場

齋藤さ​んの自宅の周りは菜の花でいっぱい!
家の裏にある綺麗にお手入れされたお庭を通り抜け、いざハチの巣箱付近へ…

甘い香りのする菜の花畑。脇には梨の木やキウイも…(花との受粉で美味しい蜂蜜が出来るらしい!)


やさしい木漏れ日の差す場所に、巣箱は置かれていました。​




燻製器で杉の葉を燃して(私達ヒトの)においを中和させてから、巣箱へ向かいます。


ミツバチさんがぞろぞろと出てきますよ…



ひゃー。巣箱の中にワンサカ、びっちり!!!

 

齋藤:お昼前後に気温が上がってくると、どんどん出てくるよ。餌は一番いい
砂糖をあげている、でないとハチも下痢をするからね(!)
保健所の検査なども厳しい、けどそこをクリアしているからこそ
日本のはちみつの品質は保たれているわけですよ。

今は養蜂場をやる人が減ってきていて高原も一戸だけ。
(※30年前は8軒ほどあった時も)
後継者問題もあるけれど、蜂が減って飼育が難しくなってきている。
デリケートな生物であるからヘリコプターの農薬散布ですぐポタン、ポタンと
落ちて死んでしまったりする…。

例えば外国産のはちみつなどがどうして安値なのか…?
理由や品質の違いなどを理解した上で、消費者も商品を選択すること
が大事だと思いますね。

 

※苦手な人もいるかと思うので、小さめに…

「ほれ、これが女王蜂よ」
そういって指を差し出す齋藤さん。…ん?どこにいるか分かります??
よぉーく見るといるんです。ほかの蜂より少し大きくて見た目もちょっと違うハチ。中央付近をもぞもぞしている女王が…
 
一箱に一匹ずつの女王。
みんなが認めたやつじゃないと女王になれない、ハチの奥深い世界。
 
齋藤:女王がおるでしょ。10匹位産まれる中、1匹だけが選ばれて後は全部ハチ達の発する熱で殺されてしまう。
そうして選ばれた女王をみんなで 一生懸命育てていくわけです。
でね、女王は自分で食しないんですよ。
おなかが空いたな…とばかりにパッと口を開けると、取巻くメス蜂からの口移し
ローヤルゼリーを食する。
その代わりに女王は1日4000個位の卵を産むんです。
 
一回の交尾で一生卵を産み続けることができる。
3~5匹の雄蜂と空中へ一緒に飛び立ち(500mくらい)乱舞しながら交尾してまた降り立ってくるんですよ。そして交尾から戻ると、それ以降巣からでることはないんです。外に出るのはその一度だけ。あとはひたすら卵を産み続ける。
そしてローヤルゼリーを食すことで10年位は生き続ける。 ほかのハチはせいぜい1ケ月程度ですよ。元は同じハチなのに ローヤルゼリーだけでこんなに寿命が変わってくる。
 

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 ハチは産まれたら、まず巣の掃除から始まるんです。

掃除係が終わったハチは 育児係へ。その後は女王のお世話係。それが済んだら今度は門番をして 敵から巣を守る。それを終えて初めて働き蜂となり外へ出ていく…。そして寿命が近づくと、川のほとりなど死にゆく場所を見つけ、死んでゆく。
 
これだけここに何万匹というハチがいながら、この辺に死骸はほとんどないでしょ。賢いんですよハチは。ただ一番つまらんのはオス蜂だな。 餌を食べて交尾するだけで働かない(笑)
 
ハチの世界はすごいですよ。 これだけのハチがいて、女王が死んだらすぐ分かる。
巣箱から、うわぁーーーと音が鳴るんです。(※無王さわぎというそうです)
ハチ達が羽を振るわせて“女王がいない”と周りに知らせる。
しばらくそのままにしていると、今度は同じ働き蜂同士で交尾をして、 変なオス蜂が出来たりもする。(ハエみたいな 笑) だからそれをちゃんとしてやる。
毎日全部を覗いて様子を見るのは大変だから 普段そういうことを経験から養われる感覚で動いてやっていますね。
 
ハチも人間も一緒。一途にずっと守り続けたいんです。
 
齋藤:人間に異性の好みがあるように、ハチだって一度気に入れば徹底してずっと!なんですよ。その女王蜂に例えば触覚がなかったり、羽が無かったり、足が二本なかったりしても、卵はしっかり産むんですね。人間も何か欠けていることが魅力に感じたりするように…ハチもそういうことを受け入れて、ずっと守り続けるんです。
私も見た目がいい女王蜂がいいと思って(そういう蜂を)何度か潰しましたが、その後絶対に王台を作らないのです。認めたくないような感じで…。
※王台…女王の住処・部屋のこと。
 
そしてこれだけの巣箱があるのに、出ていく働き蜂はちゃんと自分の巣箱へ戻ってくるんです。ちゃんと見て確認して、戻ってきていますよ。
​​​​​蜂の世界は分からないところがいっぱいあるし、奥が深い。
本当にすごいなぁと思います。
 
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目を輝かせながら嬉しそうにハチの生態について話して下さった齋藤さん。
お話を聞きながら、私自身もハチの世界にグッと引き込まれていきました。
いやー奥深い。何という命の巡り、潔さなのでしょうか…!
 
もし地球上がらミツバチがいなくなると、4年で人類は滅びるといわれています。
それがどういう事か簡単に言うと…
ハチ達は午後になると花粉をいっぱい付けて帰ってきます。
それは受粉をしている証拠ですよね。という事はミツバチの働きがあるから、木々の花も咲くし、受粉してお米や作物も出来るということが成り立っている。
食物が劇的に減るとどうなるか…。
この世界はすべて循環しています。命の根源的な部分で、とても重要な役割をしているミツバチたちを、少しでも守っていきたいですね。
 

 
 
 
 
 
 

 

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