安真窯

 野尻方面から高原町へ向かう道すがら、ふっと目に入る芝生の庭と赤い屋根。
“たかはるの玄関口” そんな言葉も聞かれる安真窯(あんしんがま)さん。
お伺いした日もお庭のバラ色が青い空に映えて、目にも鮮やか!





素敵な佇まいのご自宅兼工房。元々は昔神社を建てる際に職人さん達の宿舎として建てられたものだったそう

お邪魔します~と中へ入ると…「(旦那様は)今作業場にいるのよ~」
と優しい笑顔で出迎えて下さった奥様。
実はここのご夫婦、二人そろって陶芸家なんです。
一段落してから姿を見せた安行さんは、お話好きで
チャーミングなお人柄。
目を見開き語る姿は、どことなく芸術家の岡本太郎を匂わせていて
お二人の作品を見せて頂きながら、あぁ…と納得しました。

旦那様の作るものは大胆かつ理論的で美しいフォルム。
美術展に出展された壺の
​​​​大作は緻密な幾何学模様が全体に施されていて、
その隙を見せない存在感に圧倒されてしまいます。
 
対して奥様の真澄さんは「ゆがんでいるのが好きなの(笑)」
とおっしゃるように、柔らかで味わい深い雰囲気が素敵。
お店には豊かな感性で絵付けされた陶器がゆったりと並んでいます。
 
二人の作品は対照的。男と女。緻密とおおらか。太陽と月…そんな感じで
じっと見ているとその佇まいや趣深さに笑みが浮かんできます。
素敵だなぁー。

ご夫婦は縁あってこの地で暮らし、仕事・子育て・陶芸に奮闘してきましたが
今は子育ても落ち着き、思う存分大好きな陶芸を楽しめるようになったところ。長年の夢だったことが叶った…と笑顔で話して下さいました。

広い芝生の上で気持ちよさそうに日光浴^^一日干して乾燥させているところ。


​柔らかな絵、味のある形が奥様らしいティーセット​


窯を開けるときは感激ですよ!こどもが産まれるくらいに。
本当、毎回そんな気持ち。(安行さん)

「最大のライバルは家内ですよ」という安行さん。美術展ではお二人共受賞者の常連。
その製作期間中は、お互い背中合わせでろくろを回すそう…!
同じ屋根の下…不思議な緊張感が漂いますね。
そんな中でもお互いに相談や意見し合って高め合える関係であることが
夫婦円満の秘訣なのでしょうね。



そして一見対照的な作品を作るお二人ですが
器づくりに対する想いは同じでした。
それは、その作品の向こう側。
使ってくれる人のことを考えて作っているということ。
 
何十年陶芸をやっていても “ぜっんぜん、飽きない!”と即答の安行さんは
「使い勝手が良かったと言われるのが一番嬉しい言葉。その為にもひとつひとつ、考えながら作っている」と言います。
真澄さんも「相手のことを考えて作っている。かっこいいな、素敵だなと思われるような器を作りたいなと思っています」

それぞれの個性を尊重しながら、目指す道は同じ。
だからこそいい関係を築き合い歩んでいけるのでしょうね。
そして実際にお話しているときのお二人の感じというと…
朗らかな安行さんの横に、しっとりと座る真澄さん。
旦那様の歯に衣着せぬ楽しいおしゃべりに、恥ずかしそうにしながらも
時折やわらかい言葉を返す奥様。…ハイ。とっても勉強になりました(笑)

安行さん:女性(真澄さん)は音楽聞きながらでもするけどね、
ワタシは駄目!私は(ろくろの)最後の口を閉めるときにはね “……っ。”
と息を止めてやる。けど習いに来る女性達は「こないださー〇×△◎…」
とか、お喋りしながらやってる!
あれがよう出来るなーと。
こっちは息止めてやってるのに (笑)

真澄さん:私はずれてたりするのでいいと言うのに、
夫はじーっと見て「ダメだ!〇ミリゆがんでる!」とか言って直すんですよ。
私は雰囲気良ければそれでいいのに…!って(笑)

 

笑顔の絶えないご夫婦との時間。
それぞれの魅力が表れた器たちも、機嫌よく並んでいるかのようです。
その中には、独特の風合いが魅力である新燃岳の火山灰を土に練り込んだ“新燃焼”もあります。他にも真澄さんが作られた陶器のお人形や小物が置いてあったり、以前芝生のお仕事をされていたご主人のお庭づくり(プロ並み!)も見ごたえあり…!
 
よかったら是非お店へ行ってみて下さいね。自分だけの安真窯さんの
魅力が、きっと見つかるはずです。


これ、なんの木か分かりますか?…モミジの木ですよ。なぜゆえ、この形に??
という質問さえ無意味に思えてくる、この存在感
…なんかすごい。そして好き。
※風に吹かれるとホワンホワン、傘の揺らぐさま…なんとも可愛らしいですよ~


根元から見上げてみる。ほぉあー。




 
 
 
 



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