えがおリレーvo.9 入佐 征一郎 さん

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たかはるで日々暮らしをいとなむ人々。
その人生やありのままの姿をリレー形式で伝えていきます。
今回は第9回目、入佐 征一郎さんです。

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元々高原で生まれ育った征一郎さんは、現在76歳。
「若い時は元気だったし、前しか見ていなかったね」とおっしゃるように
28歳の時に自分で池をつくり魚の養殖を始めた誠一郎さんは、牛の世話をしながら
建設会社の運転手などをこなし、毎日懸命に働いていました。
そして、魚をさばきながら牛小屋には(衛生上)行けないから…と
ニジマスの加工品販売を始めたらそれが大当たり。
寝ずに作っていた時期もあったそうです。
 

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作業場の一角。朝4時に起きて池に魚を取りにいき、ご夫婦でニジマスの甘露煮を加工しています。
 

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加工したての甘露煮がどっさり。そのままでも、お米と一緒に炊いても美味しい一品です。
(※町内では高原駅売店に置いてあります。)
 
そんな苦労と引き換えにか、とても若々しく見える征一郎さん。
「元気があれば、何でもできますよね。昨日は山へ入って足をくじきましたが()
蜂蜜取りもしているし、田んぼもしています。池も離れた所に2カ所あるんですよ」
 

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魚を養殖している池は、山奥のとても気持ちのいい場所にありました。
「ここで昼寝するのが好きなんです()」湧水が溢れ出るパワースポットです。
 

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池にはニジマスの稚魚、鯉やヤマメがイキイキと泳いでいました。


もう40年以上にもなる入佐養魚場。
特にコイのあらいは根強いファンが多く、昔から取引のあるスーパー各店や
最近では有名シェフのお店にも卸しているそうです。
 
征一郎さん:まぁでも身体が続かなくなってきてますよ。老体にムチ打ちながら、あと1年、あと1年でここまできているんですよね。
近くには他に3人位しか魚をする人がいないので、やめたら困るんでしょうね。
考えようではありがたいことですがね、
この年齢になってまで仕事があるってことは。
 
―きっと人に必要とされることって、すごくエネルギーになるから…
 
征一郎さん:それですよね。気持ちでやってあげたことが喜ばれて、バーベキューをごちそうしてもらったりすることもあるし。
そういう人付き合いは沢山、ありすぎる位あります(笑)
ちょうど今の時期は知人の弁護士さん達が、うちの池周辺にホタルを毎週見に来るんですね。小屋に泊まり、そこから山登りへ行ったりしていますよ。
8年前くらいから毎年!よっぽど高原がいいんでしょうね。
 
―そうなんでしょうね。征一郎さんの思う高原のいいところは何ですか?
 
征一郎さん:一番好きな所は…やっぱり霧島山が見えるところですね、最高ですよ。景色のいい場所は他にも沢山ありますからね。
 

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広原駅周辺の入佐養魚場の前には、吉都線がずっと続いています。
この風景が大好きな征一郎さんは、10年以上前から毎年コスモスの種をお一人で撒き、線路沿いの風景に花を咲かせているそうです。
「きれいですもんね、いつも目にする場所だから…」
と日頃から当たり前のように、周辺のお掃除や花のお世話をされています。

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そんな風にお話を伺っている中、人との関係性に豊かさを感じたことから
“人徳があるんですね”と伝えると「いや、そんなことは無いんです。ただ人を喜ばせることが好きなだけです」とおっしゃいます。
 
征一郎さん:きれいですがね、人を喜ばせるっちゅうことは。
私はそういうことをするのが好き、だからお金は一銭も持ちません(笑)
 
―けれど、その分いろんなことが巡っているように思います。
 
征一郎さん:うん。こっちを喜ばせれば、あっちから返ってきますよ。
やっぱりこっちは助けとかないかんし、だからといって(困っている人に)見返りをもらおうとは思わんですがね。
何かいいことをすると、違う所から返ってくるんですよね。
お金も使った時は入ってくる。
今日は沢山売れたな~、あぁこの間使ったからだな、とかね。
それを貯めこめば欲がでますけど、人を喜ばせることに使いたい。
喜んでもらえるとこっちも嬉しいし、ありがたいことですよ。
そういうのが好きなんですよ、馬鹿だから(笑)
 
一度シェフの店へ魚を卸すのに、日を勘違いして間違ったことがあるんですよ。
そこにはすでに潰してしまった魚…。さて、これをどこに持っていこうかな~となるわけです(笑) その時は近所の知り合い2軒分、鯉こくにして持っていきました。
 
―いいですね。一見やってしまった失敗だけど、それを違う形でよろこびに変えられるっていうこと。うれしくなりますね。
 
征一郎さん:うん。損はしたけど、よろこばせた分はお金には変えられない
うれしさがありますからね。
 

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征一郎さん、ありがとうございました。
 
「朝、神棚に水をあげて、一日にひとつはいいことをしようと拝むんです」
そんなことをさらりとおっしゃる征一郎さん。
心の整った人…という言葉が浮かぶような在り方、
こんな方がいらっしゃるということ自体に、嬉しい気持ちになるのでした。
 
次回のえがおリレーは“水車で発電機を作ってるおじさん”だとか…?
どうぞお楽しみに!