新燃岳を考える日

新燃岳が本格的な噴火を起こしてから約8年経ちました。
去年再び噴火しましたが、現在は火山活動が低下したとして、噴火警戒レベル2(火口周辺規制)からレベル1(活火山であることに留意)へ引き下げられている状況です。
 
高原町では噴火後の平成25年から毎年1月26日を「新燃岳を考える日」とし、小中学校での避難訓練などを行っています。今年も例年通り行われた訓練。去年特に降灰の影響を受けた狭野地区にある狭野小学校での訓練の様子をお伝えします。
 

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「すみやかに避難して下さい」体育館への避難を促す放送が流れ、児童はヘルメットを被り
各自体育館へ移動します。
 

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体育館で整列・確認。ここで状況に応じての指示があります。
今回は迎えに来た保護者の車へ順に乗せ帰宅…という流れでした。
 

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職員同士で連携しながら、手際よく車を誘導して児童を乗せていきます。

 

◎町内の学校にて「新燃給食」も出されます。地元の野菜や噴火で影響を受けた食材を使用し、地産地消の意味を込めて用意されたメニューです。

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狭野小学校での給食風景(一年生クラス)献立は麦ごはん・すき焼き煮・もやしのマリネ。

 

◎噴火当時の子供達や住民の体験・生の声をまとめた記録集「新燃岳の噴火 百人の記録集」が、町内全学校で行われる防災授業の教材として毎年活用されています。

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小学生の作文から町民の声、噴火の記録などが冊子にまとめられています。
灰の掃除の様子から、助け合いや協力することの大切さ、援助物資や人への感謝、“それでも山が大すきです”という小学生の素直な作文が載っていたり…。読むだけでも様々な事に気付かされます。

※内容は以下のURLからご覧になれます。

新燃岳噴火 百人の記録 | 高原町

 
 
◎そして今年は新燃岳を考える日のシンポジウムとして
霧島山を読み解くー次の噴火に備えてー】と題し講演会も開催されました。

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狭野小体育館にて、噴火の研究者である鹿児島大学井村准教授による講演が行われました。
「むやみに恐れるのではなく、適切な行動を取っていれば命を取られることはありません」
噴火についての専門的な話から具体的な避難時の注意点など…来場者に向けて真剣に語られました。
 
 
 
噴火当初、ドドドド…という激しい地鳴りと共に、山頂が赤く輝く様子が見えたそうです。それを身をもって体験した住民の方々は、大変な恐怖を感じたのではないでしょうか。
しかし降灰も落ち着き、日々の生活に馴染むうちに過去の記憶は薄れていってしまいます。それを危惧し、年に一度は噴火について真剣に考えよう、家族で話し合いましょうということで設けられた「新燃岳を考える日」
それは町民にとっても大切な時間です。
 
“身の危険を感じたら、警報などを待たずに即避難すること。情報に頼らずに、自分の目で見て察することが大事です”と井村教授は伝えられました。
これまでの噴火も乗り越え暮らし続けてきた高原町民。その山々が日頃もたらしてくれている恩恵は計り知れません。自然に恵まれたこの土地で暮らす以上、その自然と上手に付き合っていきながら、日々豊かに暮らしていきたいものですね。
 
新燃岳の噴火について、広報たかはるH30.12月号でも特集しています。
 

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