~たかはる人のお仕事事情~ 北原さん(音響エンジニア/一般社団法人 【地球のへそ】代表)

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関東出身である北原慎也さん。奥様が宮崎県日向市出身だったこともあり、
縁あって6年前に高原町へご家族で移住してきました。
音楽をたしなむご両親の元に育ち、自然と「音が好き」だという気持ちの沸いた慎也さんは音響設計を学ぶ大学へと進みます。そこで出会った奥様と結婚。
そして子供が出来たことをきっかけに、自分の暮らす環境について疑問が湧いてきたといいます…。
 
北原さん:子供が出来て、建築の仕事をしていた時に、現場でのゴミの多さとか東京での生活に子供を育てる環境では無い気がするなぁ…って。
 
―そのことは北原さんにとって、当たり前じゃなかったんですね。
 
北原さん:おかしいですよね、横浜出身なんでそういう生活が当たり前だったんですけど、やっぱり子供が出来たという事と、そこからの建築現場での衝撃が大きかったみたいで。
奥さんの実家の日向市にも何度か足を運んでいたので、やっぱ宮崎の方が良くね?って話になって。
いずれ移住するはするとして、その準備段階としてこれからの東京生活を進めようと、暫くはそのまま生活していました。2人目の子供が産まれたときには一ヶ月半の育休を取り、その間に移住に向けての準備を進めていたのですが、その育休明けに上司から今後研究開発の分野での仕事をやってもらいたいという話が来て…。
 
―それは音響設計を勉強していたからですよね、そもそも何故建築の仕事に?
 
北原さん:何か、かっこいいかなと思って(笑)
音楽やったりしてたらコンサートホールとか憧れるじゃないですか、なので設計とか出来たらいいなと…。やってみたいこと、やりたいんですよ(笑)
 
けどやめようと思ってる時に3年掛かる仕事を任されようという話が来たので、社長に正直な気持ちを話したら、他の違う部署を進められたんです。
そこは自分の好きなプログラム関係の部署だったし、その知識を身に着ければ移住後も仕事のつぶしが効くんじゃないかと思って。4年間というのを念頭にプログラムをひたすら勉強して、あえて誰もやらないような難しい仕事を選んでいき実力をつけていきました。
 
移住先も、最初は綾町が良さそうだと何度か通ってたんですけど、そこで泊まったペンションのオーナーに高原を勧められて…いざ来てみたらちょうど住む家もあって“なんかいいかも!”ていう直観でここに決めました。
 
嫁がずっと働きたいって言ってたし、僕は主夫やるつもりでいたんですが…。
いろんな経緯があって今も東京での仕事が引き続きありますし、高原での仕事もあったりで、けっこう忙しくなったりしてるんですよ。
移住者としては、仕事面で見れば理想的なパターン。仕事を持ってきて…
伏線はあったんですけど、こんなにうまくいくとは思っていなかったので。
いつも運の良さにつきます(笑)
 

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現在フリーランスの音響エンジニアであり、
一般社団法人 【地球のへそ】の代表でもある北原さん。
狭野地区に学童保育クラブ“さのっこひろば”を立ち上げました。
 

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北原さん:こっちに来る前から、地域の為になるようなことが出来たらいいよね…と
嫁と話していました。何をやるかは決めていなかったんですけど、ちょうど子供が小学生になった時に、この辺りに学童保育が無くて困ってしまって。
結局は遠方の所へ預けるしかなかったんですけど、色々と大変でした。周りの保護者もやっぱり同じように困っていたので、じゃあ作る?ってなって。
元々はボランティア感覚でやるっていうのがあったので、僕の仕事場をここ(学童)に移してやろうということで始めました。
 
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見つけた空家を学童の場に。ハンモックや手作りのボルダリング壁、ビリヤード台、外の広い敷地内
にはトランポリンまである…!楽しい雰囲気の学童クラブです。
 
北原さん:他に小水力発電に取り組む動きもあります。
高原に来てまず水の豊かさに驚いたのがきっかけです。
元々コミュニティ、小さい単位で自給自足するということ…
要は小さいコミュニティが独立して他のコミュニティと付き合う、みたいなのが幸せなんじゃね?ていう僕の構想があって。
ここでエネルギーの自給自足できそうだ!チャレンジしてみようと、色んな人に小水力発電したいよね~!って言っていたら、人との縁が広がっていって…。
今は何とか工事出来る状態まで来ているんですけどね。ゆくゆくは地元のエネルギーを賄うことが出来る仕組みになるようにしたいとは思っています。
 
―お話を聞いていると、どんどんやりたいことに挑戦されていますよね。
何か仕事に対しての態度…意識していることなどありますか?
 
北原さん:後ろは向かないんですよ。
過ぎ去ったことを後悔しない、しょうがないから。
お金に対しては帳簿つけたりして細かいんですけど、お金のための仕事はしない。
100万のつまらない仕事と、タダ働きの面白い仕事があれば、面白い方をします(笑)そしてやるまでは悩みますが、やると決めたらやる。
 
あとは元々仕事で航空騒音のシュミレーションをやっていたこともあって、シュミレーションを考えるのが得意なんですよ。なので、まず何かをやる時には最悪の状況を考える。思い浮かぶだけの最悪は最初に潰しておくんです(笑)
で、そこを想定した上でやってみる。
すると何かをやっても自分が考えた最悪よりはいいわけですよ。
ここを超えることは中々ない。

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あと僕、星空が好きなんですけど…。
星空を見てると、人間が生きてる一生って地球を一日だと考えると、
115959秒の最後の一秒しか生きていないわけですよ。人類始まってから()
その一秒の、小数点の中のこの考えって…すげー小っちゃいんじゃね?って。
だからそんなに悩む必要はないんじゃないかと思いますよね。
後向かない、新しい景色が見たいから、やりたいことやる。
 

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最近お琴を習い始めたという慎也さんを筆頭に、今は家族皆でお琴を習っているそうです。
これは都城市高崎での演奏会の風景。この感じ…いいですね~!
 
高原町で暮らしていて思う事、感じることなどありますか?
 
北原さん:高原町のすごいところは、まず人が温かい。
それと、景色が侵食されていない。
以前設計の勉強をした経験からちょっとした知識があるんですが、山のスカイライン(山と空の境目)が汚れていないんですよ。
多くのスカイラインは、山に高圧線、鉄塔が立ってます。
 
そして街並みにチェーン店がない。
外れまでいくとコンビニはあるんですが、メインの国道の所にチェーン店がない。
これがあると全国どこでも同じ景色・町になっちゃう、つまらない景色になりがちなんですけど、変な資本が入ってこなかったおかげで、そのまま残ってるんですよね。もちろん家が新しくなったとかはあるんですけど。
 
加えて灯りが少ないから星空がきれい!
でも両脇の町が日本一の星空に輝いているのに
高原町は自分達が日本一だとは特に主張しないという(笑)
その謙虚さというか…がつがつしてないですよね。
あと狭野地区にいるので神楽にも関わらせてもらってるんですが、そういう伝統も残っている。400年以上続く神楽が2つ(狭野・祓川)もあって、しかも外から来たよく分からないやつにやらせてくれるっていう(笑) 
本当に高原のこと、僕は大変気に入っています。
 
―これから移住してくる人達に対して…特にメッセージなどありませんか?
 
北原さん:あ、あるんですよ!
僕、次のステージへ進むために一緒に働いてくれる人を募集しています。
プログラム関係の仕事がしたい人とか、学童をやっているので、パートで午後の数時間働いてくれる人とか…。
経済をうまく循環させて雇用を増やしたいという目標もあるし、自分の利益を貯めても面白くないので、利益が残らないようにしたいと思ってるんですね。
残るのはギリギリ生活出来る範囲でいいんです。
人を雇うことで自分の仕事を手伝ってもらって、自分の時間を増やして
新しいことに色々チャレンジしていきたいと思ってるんです。
あまり給料が高くなくて良ければ…(笑)僕と一緒に仕事しませんか?
 

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北原さん、ありがとうございました。

 
初めて学童の場でお会いした時の風景が思い出されます。
外にあるトランポリンで子供達と一緒になってポンポン飛んでいる北原さん。
その最中に満面の笑みで「どうもこんにちは~!!」と降りてきて下さって…
その少年のような清々しさが印象的でした。
 
今回お話を聞いていく中で「“音”が好きって、どういう感情ですか?」と質問をしたところ、そこから話が広がり…音についての講義を受ける流れになった一幕も()そんな風にひとつの話から次々と話が広がってしまう状況に
「すみません、薄々こうなるだろうとは分かってたんですけど…」と苦笑い。
いえいえ、いいんです。全てにしっかりと自分の考える道筋があって、それに沿った知識や素直な言葉がどんどん溢れ出てきてしまう様子に、とても正直な方なんだなぁと感じました。
面白いと思うこと、様々なことにチャレンジしている北原さん。
これからもきっと新しい景色を見続けていかれることでしょうね…!