岩佐製茶

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高原町西麓の道路沿いにある民家で、お茶の栽培・製造をする「岩佐製茶」が営まれています。行ってみると…ここかな?という位に一見普通の民家なのですが、中へ入ってみると茶畑や工場などがあります。普通に無意識でいると…ここにお茶屋さんがあるとは気づきにくい場所です。
ではなぜ知ったのかというと、岩佐製茶さんの発信するインスタグラムがきっかけでした。
その発信者である祐子さんは、経営者である父・政弘さんの娘さんです。
 
普段は実家を離れ都城でご家族と共に生活しておられますが、インスタやfacebookの情報発信の他、イベント出店や、カフェに商品を置いてもらったりなど…楽しんで活動しておられるそう。「広報担当です」と明るい笑顔で話す祐子さん。
お茶づくりはご両親、3代目のお兄さんが主に作業されています。
 

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工場内の様子。年季の入った機械の佇まいが、何ともかっこよい。
 
 祐子さん:お茶工場には幼い頃の思い出が沢山詰まっているんです。
ここで遊んだり、夜寂しくなって工場へ行って宿題したり…
行けば必ず誰かがいました。
昔は粉茶のグリーンティとがあって、あれはほんのり甘くて美味しかったなぁ~
と今になって思い出したり。常にお茶が当たり前にあったので、スーパーへ行っ
て緑茶のペットボトルを箱買いする人達をみて不思議でした。
家のお茶、家で淹れるお茶のほうが美味しいのに…って。
お茶も県外から注文があり送ったりしていたのに、身近なとこにはどこも置いて
いない。なので、パックのデザインも可愛くして若い人向けに作ったらいいんじ
ゃないか…と。お茶の美味しさには自信があるだろうと、パッケージだけ変えて
みたら、評判も良くて。
 

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こちらがその商品。たかはる軽トラ市でコースターとセットで出したら完売したそうです♪
 
ーここはいつからお茶づくりをされているんですか?
 
政弘さん:昭和47年僕の親父の代から、ここらでお茶の定植が始まったの。
僕自身が30歳位から関わり始めたかな。その頃はお茶が良く売れて一番いい時期だった。景気が良くなったからと、皆機械の更新やらし始めて…しなきゃいいのにね(笑)
そしたらお茶のペットボトル販売が始まった。お茶というのは5~8月に出来るんですが、寒い冬にもお茶が売れ出す…。これは年中お茶が売れるぞ!と、また皆機械買ったり投資したり…。ただ、今度はペットボトルが売れ出して、消費者が急須のお茶を飲まなくなった。それで冬の茶葉がガクーンと売れなくなって…。一時期は大打撃でした。
今は割と落ち着きましたがね、まぁお茶を飲まないような時代は来ないだろうし…。
 
ーそうですね、私もお茶はずっと飲むと思います。
日頃お茶仕事をしていて、好きな瞬間とかありますか?
 
政弘さん:え?…仕事はよだきいなぁ~って(一同 笑)
祐子さん:なんかお兄ちゃんが言ってたよね、仕事が終わって電気を消した時の静けさが好き、とか(笑)
政弘さん:あぁ、そういうのならあるよ!一番茶は一斉に茶葉が出るんですよ、だから一気に摘みこんでいく。すると一日にどれだけ加工できるかなんですよ。夜に蒸気で蒸しあがるのが夜の9時位に一段落し、それが製品として上がってくるのが夜中の2時位。
それが終って、電気を消して、シーンとなる。あぁ終わったってほっとする瞬間…
ていうのが息子の話ね。
私は茶摘み担当だから、全部摘み終わって夕方にビールをぐいっとやる時かな(笑)
 

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夏休み中のお孫さん達がいて和やかな雰囲気の中…ご自宅でお話を伺いました。
 
ーいいですね~。私はお茶の事に詳しくないのですが、今はどういう時期ですか?
やっぱり一番茶が美味しいものなんでしょうか?
 
政弘さん:今は一番、二番茶、三番茶が摘み終り…一年間のお茶が全部終わったところ。お茶は夏場に作業するので、これからは野菜づくりで生計を立てていくわけです。
 
やっぱり一番茶が一番おいしいよ。お茶摘みを終えた4番目のお茶を、病気や虫やらから守りながら、来年の為に大事に育てていく。そこから7カ月間かけて茶木を回復させた後の、一番目に摘まれるお茶だから、栄養たっぷりで美味しいんですよ。芽が出ちゃ摘まれ、葉がでりぁ摘まれ、それでも茶の木に花が咲く…とね(笑)
 
消費者の皆さんに、お茶の美味しい飲み方を知ってほしいです。
夏だったらコップにティーパック入れて濃ゆーく出して氷入れて飲む…とか。
 
浩太郎さん(娘さんの夫):一度飲んでみて下さい。俺も全然お茶を知らない人だったけれど、飲んでから他のお茶が飲めないというか…味を知るようになりました。
 
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祐子さん:「お父さん…それ、はし!?」  政弘さん:「素手よりいいじゃろー!()
 

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実際に濃ゆーく水出しした緑茶を作って頂きました。もちろん…美味しい!
 

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岩佐家の皆さん、ありがとうございました!
 
取材に伺う前、岩佐製茶さんのfacebookにあるモノクロの家族写真を見ていました。それがいい雰囲気で…。実際に行ってみると、なんだか本当に想像通り!
大人達が賑やかに話す中、日焼けした子供達がおのおの遊んでいる…そんな日常風景。仲の良い家族の笑顔を見ていると、それだけでもお茶が美味しそうに感じます。「どんな形でもいいから知ってほしい」という祐子さんも、きっとご家族が大好きで、お家で作られているお茶が美味しいと、心から思っていて…。
だからこそ皆に伝えたいし、知ってほしいんだろうなぁ。
とってもシンプルで真っすぐな気持ちに、こちらまで心が晴れ晴れしてくるようでした。
 

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