天然酵母 田舎のパン屋

広原地区の住宅地にひっそりとたたずむ「天然酵母 田舎のパン屋」
大阪から移住されてきた松﨑さんご夫婦が営まれています。出来る限り地元産の素材にこだわって、天然酵母を使いじっくりと時間をかけて作られているので、噛むほどに味わいの広がる素朴なパン。その優しい味にほっこりします。
元々エンジニアだったというご主人の松﨑さん。どうしてここでパン屋さんを始めることになったのでしょう…?

f:id:freelifetakaharu:20180817091327j:plain

 
―パン屋さんを始めたきっかけを教えていただけますか?
 
松﨑さん:元々大阪で生まれ育ち、NTTのシステムエンジニアだったんですが、両親が高原に住んでいました。当時50歳を目前にして仕事にケリをつけ、夫婦でこっちへ来て家を建てたのが13年前です。当時はパン屋をしようなんて思っていなくて、夫婦共に当時流行っていた介護職につこうと思っていましたが、思ったように仕事もなくて。その時に、いずれ趣味程度にできたらいいと思って習っていた天然酵母のパンを仕事として始めたのがきっかけですね。前準備していた訳ではなく、流れの中で“じゃあやろうか”という感じです。
 
―移住してきての、自然な流れで…という感じなんですね。
 
松﨑さん:そうですね。ちょうど(天然酵母)ブームだったんで、最初の一年はほっといてもお客さんが来る状態で、ウケは良かったです。
まぁそれも落ち着いてきて2~3年した頃に地元の小麦を使うようになり、どうせなら地元の素材も…ということで、今の形になりました。何しろ最初はハード系のパンのみで絞ってやっていましたが、“カタい”と言う声も多くてお客さんが付かなくてね。徐々に食べやすいようなパンも増やしていきました。
 

f:id:freelifetakaharu:20180817091546j:plain f:id:freelifetakaharu:20180817091555j:plain

パウンドケーキを焼く作業。せっせと手際よくこなす奥様。

※パンを作り始めて13年目。毎日夜中の2時に起きて、分割・成型して、早朝67時に焼きあがる…というサイクル。施設の朝食用に卸すパンは朝早く持っていくので夜中の12時過ぎに起きて作業するそうです。
 
―パン作りで大切にしていることはありますか?
 
松﨑さん:最初から“地元のものを使って素朴なものを作りたい”という路線だけは崩していません。それはずっと続けていくと思います。パンを作っていって面白いのは毎日の出来が変わってくること。そういう所が難しいような、楽しいような…そんな感じです。
 

f:id:freelifetakaharu:20180817091940j:plain

7時過ぎから出来立てほやほやパンが並びます。品数が限られているのでお早めに~

 

f:id:freelifetakaharu:20180817092105j:plain

手前が地元のお茶屋さんの茶葉を使った「茶茶メロンパン」奥が有機レーズンいっぱいの「ありがとうパン」美味しそうでしょ^^ネーミングにもほんのり愛を感じます。
 
―高原について思うことなどあれば聞かせて下さい。
 
松﨑さん:町としてこう…小さいじゃないですか。
なので色々つながりは持てるんじゃないかと。
僕が地元の小麦を使うだとかは、多分高原だからこそ出来たわけであるんです。
皆さんが色んな声を掛けてくれる中、お互いにつながりが出来ることで、
素材の工夫にしても、色んな可能性が広がってきました。
枝がどんどん広がるように…。
 
―松崎さんご自身、こっちで暮らし始めてから “つながり” が大きなポイントなんですね。
 
松﨑さん:そうですね。一人で(パン屋の経営)全部はしんどいですよ。
人脈を持つことでいいものが安く買えたりが可能になるので、そこが都会とは違う点ですよね。都会だと自力で頑張らないと中々道が開けないけれど、こちらだとお互いが助け合い、持ちつ持たれつという感じがあって。そこをうまく生かしてやればいいと思うんです。小さい町で一人で(お店を)やろうとすると、難しいと思います。人も少ないですから。動いていかないと、待っているだけでは都会みたいに人はバンバン来ないので。
自分の場合、大きな目標を掲げてここに来たわけではありません。
ここに来てから物事が徐々にひろがっていったんです。
 
―移住を考えている方々など…ブログ読者にメッセージなどあれば聞かせて下さい。
 
松﨑さん:(しばし考え込んで)じゃひとつ…。
うちのパン屋を始める時、迷ったのは迷ったんですよね。
移住しようか、だとかでも迷いますよね。何をやろうか…とかいくらでも。
けど、それってやってみないと分からないんですよね、いくら考えていても。
こういう所に来るという事自体、何らかの“想い”があって来るわけで、
そこを一歩踏み込んでやってみるというのが一つの手かなとは思います。
やってみたらどうにかなるな、ていう。心配したら何も出来ないんでね。
“思い切ってやればどうにか道は開けるんだ”
ていうのが伝えたいことではありますね。
 
思っているだけでは結局後ろに引っ込んでしまう。
出来る限り自分でトライしてみる、ていうのをやってみたら人生楽しいかなと。
 
想いのある人はいっぱいいるんです、ただ、あと一歩が中々出来ない。
それはみんなそう、我々もそうなんです。ただ意外とそれをやってみたら…
出来るんですよ、大概のことはそこだと思います。
僕なんか元々そんなに高い意識持ってなくてもやれたんですから。
せっかく志を持っている人は是非、トライしてみてほしい。
 

f:id:freelifetakaharu:20180817092655j:plain

松﨑さん、ありがとうございました。

一見物静かな印象の松﨑さんでしたが、思い切ってやればどうにか道は開ける、
是非トライしてみてほしい…!と熱い思いを語って下さいました。
そうですよね~。私も○○しようかなー、けど○○だしなー。なんて考えて自然消滅
したこと、いーっぱいあります。だからこそ意識するのは、考えるよりまず行動ということ。そこでグッと何かをつかんで、道を開いて進んで行くと…その先には楽しくて充実した日々、考えもしなかったような素敵なことが広がっていくかもしれませんね。
 

f:id:freelifetakaharu:20180817092930j:plain