恵はりきゅう院

 
鍼灸治療、受けたことありますか?

高原町祓川地区にある “恵はりきゅう院”
鍼灸師の山本さんが、ご自宅に施術室を構えて6月に開院されたばかりです。
私自身はこれまで鍼灸に馴染みがなく(いたって健康体ゆえ^^;)けれど
行く人は行く!という印象でした。そんな感じでしたから、どうして鍼灸師
さんになろうという所に意識が向いたのか…そこから気になる…!
ということで、まずはそこのキッカケからお聞きしました。

鍼灸(しんきゅう)とは…
問題がある患部や経穴(ツボ)に鍼や灸を用いて、刺激を与え病気の治癒や予防をめざす治療。
人が本来持つ自然治癒力や免疫力を高めて健康促進を保つ医療技術。


入口には手作りの看板が。中へ入ると、心地よい空間の施術室があります。


施術室横のお部屋にてお話を伺いました。いい感じの雰囲気…!
 
山本さん:そうですね。きっかけは私の母親なんです。
13年前くも膜下出血で倒れて、それから寝たきりの状態で。
その間ずっと母親に付き添っていました。
どうしても寝たきりだし、意識障害があるからコミュニケーションが取れないし
自分で動くことも出来ない状態で。だから色々病気も併発するんですよね。
その度にお医者さんにかかるけど、薬もらってまた悪くなったら薬。
そして手術…みたいな感じだったからもうちょっと方法がないのかな…と。
悪くなってからじゃなくて、例えば悪くならないように何かするとか。
日々出来ることがもっとないのかな…と色々勉強していて。

そんな中、東洋医学に出会って、これは面白い…って!
病気になる前に良くする、とか自然治癒力を助けるだとか。ほかの人が治すん
じゃなくて、実際治すのは自分の持っている力だという考え方。そういうのが
いいなと思いました。

ちょうどそのころ、実家から自転車で行ける範囲の所に鍼灸学校があると知って
夜間の授業に行けないか…と、父と相談して通い始めました。
父も定年退職の時期で、母のことも覚えてもらって…という時だったから
昼間は母のお世話のことなどを父に教えつつ一緒にやって、夜は学校へ通う…
という日々が3年間続きました。

ーそうなんですね…。
お話聞いてるだけで、色んなご苦労があったんだろうな…と。
必要に応じて…というか、自然な流れで鍼灸師さんになったんですね。

山本さん:そうですね。それまで自分が鍼灸の治療受けたとか、そんな事なかったし…。
以前は海外に目が向いていて、NGOに務めたり国際協力の仕事をしていたり
実家に帰る前は、山梨で子供たちの野外教育、子供たちと遊ぶというか…()
そんな仕事をしていて。全く畑違いのことをしていたんです。

(母のことで)周りからはすごいね!とか言われていたけど、全然自然な流れ
で母の手伝いをするようになったというか、自分ではそれが普通のような気が
していて。そんなに嫌だとか辛いだとか思わずにお手伝いしていました。
それが決まっていたことのような気もするし…。

とっても見晴らしのいい場所!薪風呂、その炭を使い七輪で晩ごはん…とご夫婦で
自然な暮らしを楽しんでいるようです。

ーこっちで暮らすようになった経緯を聞かせてもらえますか?

山本さん:尚生君(ご主人)と出会ったのは福岡に住んでいた時なんですけど、
母が倒れる前でした。山梨での仕事は二人一緒にしていましたね。
私が母のお世話で宮崎へ戻って、彼は実家が福岡。その中間部というか…。
彼が宮崎に来てくれたりしている時に、高原が通り道にあって、“あの辺雰囲気
がいいんだよねー”とか話していて。田舎に住みたいのは前から言っていたから
宮崎をあちこち見てまわっていて…高原でも家を探したりしながらここを
見つけて。尚生君は先にここに住み始めて3年目なんですが、私はここ
1年位かな。週の半分はこっちで、後は宮崎の実家で母のことや
祖母や叔母などにも鍼治療したりしています。

ー高原に住み始めてどうですか?

山本さん:そうですね、まだ週半分くらいなのですが…住みやすいですよね。
お店が遠いとかはありますけど、そんなに…。
あるもので暮らす、と思えば不便でもないし。
よく移住とかすると周りとの付き合いがうまくいかない…とか
聞いていたけど、ここの周りの人達は温かく迎えてくれているし、
下手にベタベタする必要もないし。居心地がいいですね。
何よりもこの環境が好きです。

ー実際お母さまに鍼治療してみて、どんな感じですか?
これからここで治療院をやっていくことに対する気持ちなども…

山本さん:そうですね。母に一番(はりきゅうを)試していると思うんですけど…。
1年前、私の鍼灸の先生に母の事診てもらっていて、またつい最近もう一回診て
もらったんですよ。そうしたら、私はあまり気付かなかったんだけど
「随分良くなっていますねー」って。客観的に見ても良くなっているというのも
あるし、検査の数値上も良くなっているというのもあって、あぁ、効くんだなと
思って。母は先生も認める横綱級の患者だから、簡単に何かが治ったりとかは
難しいと思うけど、ちょっとでも良くなっているのが分かって…あぁ良かったって。

ーほんとに…!もうさっきから鳥肌が…なんか泣きそうなんですけど()
すごーい!!良かった。それに、またこれからもしてあげられるから。

山本さん:そうですね。多分今まで(失敗して)母にも嫌な思いさせてるから()
ちょっとずつでも自信をつけてやっていけたら…と思いますし、そうやって
母が教えてくれたことを、他の人にもちょっとずつ生かせるようになると
いいなぁと思っています。




山本さん、ありがとうございました!

山本さんのお話を聞きながら…、はぁーっとため息。我、反省。
何だか心を立て直すような気持ちになりました。
ご本人の芯の通ったお人柄や落ち着いた雰囲気、心地よい場所での治療に
きっと皆さん、癒されることでしょう。
室内の古い家具なども素敵なのですが、被災地のボランティア活動をされて
いるご主人が、現地で譲り受けたりしたものだそうです。そして治療室の工事
も山梨から知人の大工さんが遊びに来て、その滞在中に仕上げてくれたのだそう!
ご縁ですね~。
そんな風に人とのつながりを大切にしていらっしゃるご夫婦、ゆくゆくはここで
の環境を生かして、滞在型の自然体験&ケアハウスなどもしていきたいと思い
描かれているそうです。これからますます楽しみですね…♪






 

 

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【※追記 恵はりきゅう院 実際の治療の様子】

 

実際のところ、私自身は鍼やお灸の経験がありません。やってみたいけれど今のところ特に身体の不調もないので、周りの人に話を聞いてみると結構「イタそう」「こわい」などの返事が返ってきます。
まだ未経験の人にとっては、そんなイメージだけがぼんやりありそう。治療が合っていれば不調が治るかもしれないのに、ちょっともったいないかも…と。
ならば実際の治療を紹介してみよう!と言うことで後日、やや体調不良の夫とともに来院しました。実際の様子を簡単にご紹介しますね。
 

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まずはどこが悪いか、改善したいかなどの症状を伝えると、恵さんが丁寧に問診して下さいます。今回は鼻炎の改善や背中の痛み、アレルギー体質についてなど…。
 

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寝台にあおむけで横になります。脈を診ながら、身体の全体のバランスを整えるため
主に足から太ももにかけての範囲に、鍼をさしていきます。
ほそーい、髪の毛くらいのハリです。
 

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これは鼻炎の症状に働きかけるお灸です。
「身体の下部(足の方)が冷えて、頭に熱がこもっている状態。
その熱を追い出しますね」
腕に据えられたほんの小さいお灸。これで余計な熱を誘い出すそうです。
同じお灸でも、熱で温める作用と、熱を追い出す作用があるんですね。
あとツボが合っていると、お灸を据えても熱く感じないそうですよ。
この後、「鼻の通りが良くなった」とつぶやく本人。何たる即効性。
 

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次は【背中の痛み】に対する治療です。
背中を指で押さえつつ、ここはどうですか?痛いですか?…など訊ねながら鍼をさしていきます。ここまで見ていて特に痛がる様子はありませんでした。“感じてもちょっと違和感があるくらい”だそうです。
 

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わ、なんかぐるぐるの面白いの出てきた…!
これは陰と陽の法則を活かした形状なのだそう。
皮膚からちょっと離れた場所で熱を発生させ、身体の内部へ働きかけます。
(今日は主に疲れが出るという腎臓に働きかけたそうです。)
鍼とお灸。これまで見ていただけでも色んな使い方がありますね~。

 

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いよいよ締めのお灸。
背中に据えて、本人が熱く感じた直後にぱっと取る、という感じで各部位に
手早く数か所。その後、背中や太ももに全身の巡りをよくするための手技
を施され、終了です。
 
痛みや熱に対する体感は、本当に人それぞれだと思います。
今回の治療は、終始しずやかにとり行われました。最後のお灸はちょっと熱かったみたいですが() 鍼やお灸、一般的には肩こり・腰痛・神経痛に効く…位の認識のようですが、実際は様々な症状に効き目があり、西洋医学代替医療として有効であると発表されています。健康保険が適用されたりもするので、これまで何となく敬遠されてきた方など…身体の不調に試してみるのもいいかもしれませんね。